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三笘がまさかの苦戦 “激戦すぎる”東京五輪メンバー「誰が生き残る?」「OA枠の最有力候補」を考えてみた
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2021/03/30 18:15
激戦の東京五輪メンバー。生き残るのは? OA枠は誰になるのか?
昨季は新人ながらリーグ戦で13ゴール12アシストという結果を残し、今年も好調を維持するなかでの招集。しかし、初戦は相手の上手さと強さに対応しきれず、持ち味であるドリブル突破を封じられ、ほとんど見せ場がないまま後半21分に交代した。1戦目終了後には「たくさん課題が出た試合でした」と振り返り、次に気持ちを切り替えて準備していたが、2戦目は後半43分からの出場となり、時間的にも厳しい戦いとなった。三笘は本来の輝きを見せることができず、生存競争の先を行くライバルたちにくさびを打つことができなかった。
三笘のポジションである攻撃的MFは、椅子が3席しかなく、優秀な選手が多い最激戦区である。久保建英(ヘタフェ)、三好康児(アントワープ)、堂安律(アルミニア・ビーレフェルト)、遠藤渓太(ウニオン・ベルリン)、安部裕葵(バルセロナB)、斉藤光毅(ロンメルSK)の海外組に加え、相馬勇紀(名古屋)、郷家友太(神戸)、森島司(広島)、安部柊斗(FC東京)らが候補として名前が挙がっている。
堂安はチームのスタート時から主力として活動しており、久保とともにA代表でもプレーしてきた選手で森保監督の評価も高い。故障がなければ、二人が選ばれる可能性は非常に高いだろう。そうなると残りの椅子は1席になる。アルゼンチン戦では相馬がアグレッシブなプレーを見せ、評価を高めた。チームに生き残るためには、まずは親善試合が行われる6月まで各チームでの活躍が必須であり、圧倒的な結果を残すことが前提になる。
板倉・田中碧がいても「ボランチ」は手薄か
アルゼンチン戦を見て、少し手薄に感じたのが、ボランチだ。
初戦は中山雄太(ズウォレ)と渡辺皓太(横浜FM)が組んだが、守備では相手の速さや強さに後手に回り、攻撃では効果的な散らしのパスや縦パスがほとんどなかった。A代表の攻撃を見てもわかるようにボランチからの縦パスは、出した瞬間に周囲を攻撃モードに転換させる重要なパスだ。だが、中山+渡辺は足元へのパスが多く、展開にしてもセンターバックの間や脇に落ちてボールをコントロールするなどの工夫が足りなかった。
ただ、2戦目の板倉滉(フローニンゲン)、田中碧(川崎)のコンビは攻守に非常に効いていた。板倉は初戦センターバックを務めていたが、ボランチとしての能力の高さを証明し、ゲームをコントロールしていた田中とともに一気に評価を上げた。
他にも田中駿汰(札幌)、齋藤末月(FCルビン)、金子大毅(浦和)らボランチ候補がいる。板倉と田中のコンビは戦闘力が高いが、攻守をコントロールする最も重要なポジションだけに、個人的にはOA枠の1枠はここで使用される可能性が高いとみる。