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WBC“陰のMVP”ダルビッシュ有36歳が振り返る、激動の日々「正直、疲れた部分はあります」「イチローさんとやり方は違ったと思いますけど…」
posted2023/03/30 11:03
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Naoya Sanuki
日本中を熱狂させたWBCは、決勝・米国戦の最後を締めくくった大谷翔平の雄叫びで、世界一奪還へのストーリーが完結した。村上宗隆、吉田正尚らが勝負所で劇的な一打を放ち、外国生まれで初の侍ジャパン入りを果たしたラーズ・ヌートバーが、新ヒーローとして脚光を浴びた。
心を砕き、多額のポケットマネーを費やしたベテラン
その一方で、2月中旬の宮崎合宿初日から参加したダルビッシュ有のグラウンド内外での功績、貢献度が、まさに「陰のMVP」として称賛された。チーム最年長として、平均年齢27.3歳の若い選手たちを束ね、一体感を生んだ。寄せ集め集団の垣根を取り払うため、心を砕き、多額のポケットマネーを費やしたベテランは、どんな思いで1カ月あまりの日々を送ってきたのだろうか。
決戦の地マイアミからアリゾナ州ピオリアへ移動し、パドレスのキャンプに合流した3月23日。
愛する家族と離れ、選手や周囲を気遣い、メジャーのキャンプとは異なる調整を強いられた激動の日々を振り返った際、ダルビッシュは、「正直、疲れた部分はあります」と本音を口にした。
自分のことを100%するのは難しいとは分かっていました
その一方で、パドレスから「特例」が認められ、合宿参加を決断した当初から、腹を括っていた。現行のルールでは、2月下旬から3月上旬に宮崎と名古屋で予定される壮行試合への参加は認められていなかった。実戦で登板するのは、その後の強化試合だけに限定された。それでも、ダルビッシュは自らが担うべき役割、参加する意義を十分に理解していた。
「宮崎から行く時点で自分のことを100%するのは難しいとは分かっていましたし、そこを踏まえて行っているので。でも若い選手たちと関係を築いたりとか、すごく仲良くなれたりしたので、そういうところで自分も良かった部分はたくさんあります」