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野球のぼせもんBACK NUMBER
周東佑京「鬼ごっこで捕まった記憶ない」WBC“あの爆速スピード”はなぜ? 親族にオリンピック選手、3年前に“世界新”の盗塁記録…米国人記者も衝撃
posted2023/04/04 11:00
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
KYODO
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準決勝。村上宗隆の劇的打で勝利した裏で、サヨナラ勝ちのホームを踏んだ一塁ランナーの“異次元スピード”が話題を集めた。その男こそ周東佑京、27歳。SNSのトレンドにも入った「周東の足」の原点とは?(全2回の#1/#2へ)
一塁でも得点圏――。
周東佑京が塁上に立つと、SNSでそんな言葉がトレンド入りする。
本来はシングルヒットやフォアボールでも出塁すれば、20年シーズンに“世界新”の13試合連続盗塁成功を記録した神足を活かして、まるで当たり前のように二塁へ進塁しているという意味で用いられていたが、WBCではまた違った衝撃を海の向こうにまで与えてみせた。
準決勝のメキシコ戦だ。
米国記者も衝撃「この最大速度は…」
4-5で迎えた9回裏、まずは先頭の大谷翔平が右中間へ二塁打。塁上で大きく両手を振りかざしながら吠えてサムライの仲間を鼓舞すると、続く吉田正尚は四球を選んだ。ここで一走に「代走・周東」が起用された。
無死一、二塁。打席の村上宗隆がメキシコの守護神ジオバニー・ガイエゴスの速球を待ってましたとばかりに振り抜いた打球は、センターの頭上を越えてフェンスに直撃。二塁から大谷が生還すると、そのたった0.8秒後には周東が本塁へ滑り込んできた。逆転サヨナラのホームインだった。
殊勲打の村上への称賛はもちろんだったが、一塁から快足を飛ばした周東にも賛辞が集まった。あまりにも劇的すぎる決着だっただけに大興奮の中にいた日本人よりも、米国のアナリストや記者たちの方が冷静な目で分析をしていた。