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「結婚を前提、この人しか」「展開早すぎ!」サッカー日本代表の妻へ…町田浩樹が“パリの指輪”に込めた想い「彼女、ショパン好きなので」
posted2024/11/24 11:03
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Panoramic/AFLO
ホテルの部屋に戻ると、バラの花が
日本代表DF町田浩樹と妻が、ベルギーと日本の長距離で愛を育めた要因には、ゲームをはじめとしたデジタルツールがあったのは第1回で触れた通り。ではプロポーズについてはどうだったのか――妻に聞くと、アントワープでのクリスマスディナー後にホテルに戻ったとき、腰を抜かしそうになった。
1つが、見たこともない、カメラを構えた中年男性。もう1つが、部屋に敷き詰められたバラの花だった。
(ヤバイ、部屋を間違えちゃった!)
彼女は瞬時にそう思った。だが、間違えるはずがなかった。
「入ってよ!」
町田から部屋に入るように促される。よく見ると、確かに自分たちが泊っている部屋だった。食事をとっている間に、“誰かが”その部屋にバラの花をキレイに敷き詰めていたようだった。
(え!? もしかして!)
さらに目をこらしてみると、おじさんフォトグラファーだと思っていたのは、カメラを構えた女性だった。後に知らされることになるが、この瞬間を記録に残すために町田が手配したフォトグラファーだった。
あまりに驚きすぎて「頬っぺたをつねりました」
そして、町田がひざまずいた。手のひらサイズの箱をパカッと開けるのではなく、ポケットに入っていた小袋から、ダイヤのついた指輪をスッと取り出してきた。
指輪のケースをスーツのポケットにいれると、どうしても箱の形が浮き出てしまう。これも後から聞かされることになるのだが、町田は指輪を小さな袋に入れて、ポケットに忍ばせていたのだ。だから、食事の席でも彼女は気づけなかった。
「僕と結婚してください!」
あの幸せな瞬間を、妻はこう回想する。
「もう展開が早すぎて! まだ付き合って半年でしたからね。ただ、指輪が出てきた瞬間から、心の中では叫んでいました。驚きすぎて、実際に声は出ませんでしたけど。女性フォトグラファーの方を、オジサンだと勘違いするくらいに動転していたんです。わたし、本当に、頬っぺたをつねりましたから」
あまりに驚きすぎて、「これからもよろしくお願いします!」といった類のわかりやすい返答がその場ではできなかった。