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野中生萌がプレッシャーに打ち勝つために、ユース世代に伝えたい「YOU GOT THIS(大丈夫、いける。)」
posted2024/11/07 15:00
「ガンバ、ガンバ、ナイス!」
10月19日、東京杉並区にあるクライミングジムには、セッションに挑む子どもたちを大きな声援で後押しするプロクライマー・野中生萌の姿があった。
adidasは、今年の1月からあらゆるスポーツに向き合う人たちをプレッシャーから解き放ち、前向きにスポーツに向き合えるようにサポートする、スポーツブランドとしての姿勢を様々な形で表現したブランドメッセージ「YOU GOT THIS(大丈夫、いける。)」を広く伝えるキャンペーンを、日本を含む世界各国で展開している。
その一環として、さまざまな競技のアスリートがプレッシャーから解放され、ポジティブな力へと変え、自信を持って競技に向き合う姿を描いたfilmを制作。ランニングの平林清澄(國學院大)・黒田朝日(青山学院大)、柔道の阿部一二三、詩兄妹、ボルダリングの野中生萌らが登場する動画は、TVCM等で放送され大きな反響を呼んだ。
キャンペーンの集大成として、世界を舞台に活躍するアスリートが、子どもたちに自身の経験を共有し、スポーツにポジティブに向き合うことの大切さを伝えるイベントがスタート。
9月にはBリーグ・アルバルクTOKYOでプレーするテーブス海が、子どもたちにプレッシャーを乗り越え、打ち勝つためのトレーニングメニューを教えるプログラムが行われた。
野中生萌をゲストに日本全国のユースクライマー向けのトレーニングキャンプ「THE18 - TO THE NEXT LEVEL -」と共同で開催されたプログラムは、その第2弾となる。この日のイベントには世界の舞台で活躍することを目標に日々努力を続ける30人のユース・ジュニア世代の選手が参加した。
16歳の頃から日の丸を背負ってきた野中の目に、今の若きクライマーの姿はどのように映ったのだろうか。
「当時の私とは比べ物にならないくらいみんな強いです。ただ、競技としてのクライミングがすごく発展してきたこともあって、勝つことに意識が向いてしまっている気がします。どんなスポーツでもプレッシャーを感じて、思うようなプレーができないときが必ず訪れます。そのまま押しつぶされてしまうのか、乗り越えられるのかは、どれだけそのスポーツを楽しめているのかに懸かっていると思うんです。クライミングが楽しいという気持ちをぜひ、大切にしてほしいと思います」
努力の積み重ねがプレッシャーに負けない強さになる
スポーツをする中で誰もが向き合う、プレッシャー。
これまで数々の大会に出場し、数多の壁を乗り越えてきた野中はプレッシャーとどう向き合ってきたのだろうか。
「プレッシャーはその場で乗り越えようとするよりも、いかに普段からたくさん練習をしているか、強くなっているかが重要だと思います。もちろん私も手が震えるほど緊張することもあります。でもそのプレッシャーをはねのけ、集中して登り切ったときがクライミングで一番楽しい瞬間ですね」
とは言え、スポーツの世界ではどれほど研鑽を積んでも、ときには負けることもある。
「同じ負けるにしても、ダサい負け方だけはしたくないという強い思いがあって、泥臭くてもいいので、自分が持っている全てを出し尽くしたい。それができたときは、負けた悔しさはもちろんありながらも、やるべきことや課題が見えてくるので、次は『大丈夫、いける』と思える。いいときも、悪いときも、本気で向き合っていれば必ず得られるものがあると信じています。今回狙っていたメダルには届かなかったんですけど、4年後またリベンジしたいですね」
強くあるために、目の前の壁を登るために。野中生萌の挑戦は続く。
「YOU GOT THIS(大丈夫、いける。)」
(文=福田剛、写真=松本輝一)