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W杯予選でエース級の活躍、大迫勇也はなぜ外れた? 森保ジャパンの26人に込められた“意図”「重視したのはユーティリティではなく…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2022/11/02 17:01
11月1日、ゴールキーパー(GK)3名を読み上げた後、GK以外の選手を年齢順に読み上げる“サプライズ発表”を行った森保監督。26人に込めた意図とは…?
大迫がいないW杯は、攻撃陣にとってプレッシャー
ただ、その上田だが、代表戦ではまだ得点を挙げられていない。エクアドル戦の時のようにポストプレーを要求するのであれば、むしろ大迫を起用しても問題はないが、それでも上田なのだ。ただ、大迫がいないW杯は、攻撃陣に相当なプレッシャーを与えることになるだろう。
古橋は、代表ではセルティックでの輝きを見せられていない。まるで一時期のアルゼンチン代表のメッシのようだが、それでもリーグ戦10試合で8得点を生んだ彼の得点力は魅力だったはずだ。同じタイプの浅野と前田を2枚入れるのであれば、古橋みたいなタイプがひとりいた方が、ゲームチェンジャーというカードとしては最高の1枚になる。だが、大迫と同じように周囲との連携で打開していくタイプは、戦術的に必要とされていなかった。点が取れること以上に単独での突破やチーム戦術にハマり、実践する選手のプライオリティが高いのは、森保監督の狙いの一つなのかもしれないが、果たして、どう転ぶか。
戦うムードを作れる選手だった原口
原口の落選の影響は、厳しい状況に置かれた時にこそ出てくるだろう。
気持ちが強い選手で、劣勢の時には味方を鼓舞し、アグレッシブに攻めるなど諦めない姿勢をプレーで示し、戦うムードを作って行ける選手。黙々とプレーするタイプが多い代表チームにあって稀有な存在だった。ただ、今季のリーグ戦では12試合中スタメンが3試合、途中出場が3試合と出番が少ない。代表では左サイドMF、インサイドハーフ、ボランチもこなし、器用さがあるが、26名の枠ではよりスペシャリティ性が求められ、原口の持つユーティリティの能力は求められなくなってしまったのかもしれない。ロシアW杯ではベルギー戦で先制ゴールを決めるなど、何かをやってくれそうな雰囲気を持つ選手だっただけに、原口の不在は残念でならない。
旗手もそのユーティリティな能力が最終的に外れた要因かもしれない。おそらく、五輪のように18名の枠であれば、不可欠な選手だったはずだ。登録の数が少ないので、できるだけ多くのポジションをこなし、多彩な能力を持った選手が重宝される。だが、今回は23名から3名も増えたことで選考の基準が変化していった。前回のデュッセルドルフでの2試合で出番がなく、本人はもしかしたらこうなることを察していたのかもしれないが、10月に入ってからは毎試合スタメンでリーグ戦に出場し、評価を高めていただけに無念の落選になった。