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元サッカー選手・北澤豪と18歳の現役大学生が「東京マラソン2025」を完走して感じた共通の思い「支援の輪をもっと広げたい」

posted2025/03/31 11:00

 
元サッカー選手・北澤豪と18歳の現役大学生が「東京マラソン2025」を完走して感じた共通の思い「支援の輪をもっと広げたい」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

10回目の東京マラソンも完走を果たした北澤豪さん ©東京マラソン財団

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph by

Takuya Sugiyama

 2025年3月2日に行なわれた東京マラソン2025。今年は国内外から集った約3万8000人のランナーが東京を駆け抜けた。

 当日は3月とは思えないほどの眩しい陽射しがコースを照らすなか、沿道の観客の目を一際惹いたのがショッキングピンクの「Team DMHC」のTシャツを身に纏ったランナーと、黄色いブルゾンで彼らに声援を送る応援団たちだ。

 東京マラソンでは、チャリティ活動の輪を広げる取り組みとして、2011大会からチャリティランナー枠を設定。初年度は寄付者数707人だったが、参加者は年々増加。現在は5000人ものチャリティランナーが参加するほど、支援の輪は広がっている。

 その寄付先のひとつが、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(DMHC®)だ。

 同財団が運営するドナルド・マクドナルド・ハウスは、1974年にアメリカ・フィラデルフィアで誕生した、病気と向き合う子どもとその家族のための滞在施設。重い病気と向き合う子どもたちは自宅から離れた専門的な病院に入院することも多く、その家族は精神的・肉体的にも、経済的にも大きな負担を抱えることとなる。ドナルド・マクドナルド・ハウスは『第二のわが家』をコンセプトに、自宅と変わらない生活が送れるよう、高度小児医療を行なう病院に隣接して設置。世界で約390カ所、日本国内にも12カ所が設置されている。ハウスの運営や建設費用はマクドナルドの店頭での募金のほか、企業・団体や個人からの寄付、またボランティアによって支えられている。

 その活動を多くの人に知ってもらうための取り組みのひとつが、東京マラソンでのチャリティを通じた「Team DMHC」、今年は約850人ものランナーと約400人の応援団が参加した。

 DMHCアンバサダーを務める北澤豪さんが、Team DMHCの一員として東京マラソンを走るのはなんと10回目。

「東京マラソンを重ねるごとに、日本全国にハウスが増えてきて、目に見える形で支援が広がっていることを感じます。もともと日本にはチャリティ文化があまりなくて、東京マラソンにチャリティ枠ができたときは『お金で権利を買うのか』みたいな風潮が少なからずあったと思うんです。でもチャリティ文化が醸成されてきて、今ではチャリティランの意義を多くの人が感じながら走っていると、10回目にして強く実感しました。東京マラソンやドナルド・マクドナルド・ハウスの働きかけは、10年以上かかりましたけど、社会の文化的側面を大きく変えたと思っています」

 北澤さんはほかにも、DMHC支援のためのチャリティフットサル大会をプロデュースしているが、東京マラソンだからこその意義があると話す。

「スポーツをみんなで楽しむことで支援につながるというマインドは一緒だと思うんですよ。違うのは世界的にもメジャーな大会のひとつである東京マラソンには、海外からも多くのランナーが参加するということ。ドナルド・マクドナルド・ハウスは世界中で展開されていて、僕たちにとってのDMHCは日本ですが、海外の方にとってのイメージは自国のDMHCなんですよね。だから僕たちのTシャツを見た海外の方から『お前もDMHCなのか。俺もそうなんだよ』と声をかけられることもある。日本だけに留まらず、人種や国籍を問わずに同じ志を持った仲間意識が生まれるのはグローバルな東京マラソンだからこそだと思っています」

 ランナーだけではない。沿道にいるTeam DMHC応援団も立派な仲間だ。揃いの黄色いブルゾンを着て、声援を送る大勢の仲間の姿は、遠くからでもすぐに見つけることができる。

「10回も走っていますけど、スタート前はやっぱり緊張するんですよ。走り切れるとは思うけど、どうなるんだろうって。今回だって走りながら少なくとも5回はやめたいと思いましたし、もしこれが一人で走っていたらやめていたと思うんです。でも沿道のたくさんの応援団の方たちが支援の笑顔を送ってくれたり、施設を利用されたご家族が感謝を伝えてくれる。そういう方々と触れ合うと、チームの一員として走れることが心強いし、社会に対して自分の行動がつながっていると感じることができる。昔より今の方がフィニッシュに対しての目的がどんどん増えているし、這ってでもフィニッシュしてやるという気持ちになれるんです」

 沿道に立つ応援団の元には、今年のチャリティTシャツを着たランナーだけでなく、他国のTeam DMHCのチャリティTシャツを着た海外のランナー、過去のチャリティTシャツを着た市民ランナーたちが、次々と笑顔で走り寄ってくる。その光景は、参加方法は違っても、みんながTeam DMHCのメンバーなのだという一体感に溢れている。

 DMHCの活動は地域のボランティアによっても支えられている。今大会で「お世話になっている団体のサポートになれば」と初マラソンに挑戦したのは、せたがやハウスでボランティアとして活動している大学生の大尾嘉(おおおか)杏菜さんだ。

「これまでさまざまなボランティア活動をしてきましたが、DMHCは施設の雰囲気の温かさが印象的です。たまに私が疲れた状態でシフトに入ることもあるのですが、帰るころにはとてもポジティブな気分になれるアットホームな場所です」

 大学ではトライアスロン部に所属している大尾嘉さんは、初マラソンとは思えない走りで4時間台でフィニッシュ。

「トライアスロンとは全然違って、足への負担がすごく大きくて。29km地点からは本当に辛かったんですけど、Team DMHCの熱を感じる応援がうれしかったし、同じチームだと思うと、すごく親近感がありました。皆さんのおかげで無事に完走できたし、応援ってこんなに力になるんだと思いました。本当に皆さんに感謝したいと思います」

 レース前、「マラソンにはわかりやすいゴールがあるけれど、そのゴールは次のチャレンジに向けてのスタートでもある。そういうマラソンの性質はチャリティにも通じていますよね。今回もどんなゴールになるか分からないけど、ゴールした先のアクションも大切ですし、Team DMHCとともに歩む次の1年も大切にしたいと思っています」と北澤さんが語っていたように、東京マラソンが閉幕しても、Team DMHCの活動は続いていく。

 東京マラソン2025で繋がった支援の輪は、来年の大会でさらに大きなものとして東京を彩ることになる。募金や寄付、そして来年の東京マラソンで、あなたもTeam DMHCの輪に加わってみてはいかがだろう。

東京マラソンチャリティとは?

東京マラソンを通してチャリティ活動の輪を広げる取り組みのことで、寄付を行なうことで参加できる。寄付先が設定する金額以上を寄付して希望すれば、チャリティ活動をアピールするチャリティランナーとして東京マラソンに参加可能。※1

※1 寄付金の他、東京マラソンへの参加料がかかります。参加資格に条件がありますので、各要項及び規約をご確認ください。

 

ドナルド・マクドナルド・ハウスとは?

病気と向き合う子どもとその家族のための滞在施設で、1974年にフィラデルフィアに誕生し、2025年3月時点、日本には12カ所存在する。※2

自宅から遠く離れた病院に入院する子どもと家族のための“第二のわが家”をコンセプトに、高度小児医療を行なう病院に隣接して設置され、1人1日1000円で利用できる。

ハウスは建設から運営まで、マクドナルドの店頭募金をはじめとする企業や個人からの寄付・募金、そして地域のボランティアの方々の温かい支援によって支えられている。

※2 「ドナルド・マクドナルド・ハウス」は、公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが運営。

日本マクドナルド
https://www.mcdonalds.co.jp/sustainability/local/dmhcj/

マクドナルドは、東京マラソン2025のチャリティパートナーです

ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン
https://www.dmhcj.or.jp/

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