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防御率0.98今永昇太「メジャー殺しで低い故障リスク」の遅い速球…大谷翔平サイクル未遂だけでなく「じつは藤浪晋太郎と青柳晃洋がマイナーで好投」

posted2025/04/09 06:00

 
防御率0.98今永昇太「メジャー殺しで低い故障リスク」の遅い速球…大谷翔平サイクル未遂だけでなく「じつは藤浪晋太郎と青柳晃洋がマイナーで好投」<Number Web> photograph by Matt Dirksen/Getty Images

メジャー2年目も快調なスタートの今永昇太。強みのフォーシームと変化球で、強打者をきりきり舞いにしている

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 スティール、ブラウン、タイヨンと先発陣が不振のカブスは昨年同様、今永のチームになりつつある。NPB最終年の成績は7勝4敗とパッとしなかった今永は、なぜMLBの強打者を封じ込め、好成績を残すことができるのか?

主要3球種のストライク率が驚異の70%超

 今季4月1日から4月7日までの成績。カッコ内は投球数とストライク数。

〈今永昇太/カブス〉
2025年 3登2勝0敗18.1回7安1本6球10振 率0.98
4月4日パドレス戦7.1回4安1本0球4振 責1(91-68)〇

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 4日のパドレス戦の投球内容から分析しよう。

〈91球の成分分析〉
フォーシーム54球(59.3%) ストライク40球/74.1% 2被安打
平均球速145.3km/h 平均回転数2484rpm
スプリッター22球(24.2%) ストライク16球/72.7% 1被安打
平均球速132.4km/h 平均回転数1285rpm
スイーパー12球(13.2%) ストライク9球/75.0% 1被安打
平均球速128.9km/h 平均回転数2580rpm
その他3球(カーブ2球、シンカー1球)

 今永のフォーシームの平均球速は147.4km/h、昨年のMLB投手のフォーシームの平均球速は151.6km/hだから、はるかに遅い。ただ回転数は2500rpm近い。MLB平均回転数は2200~300rpmだから、打者から見て今永のフォーシームは浮き上がって見え、数字よりも速く見えているはずだ。

 先発投手のストライク率は65%あれば優秀とされるが、今永は遥かに高い74.1%と驚異的だ。終始ストライク先行で投げることで、圧倒的な優位に立っている。しかもフォーシーム、スプリッター、スイーパー、主要3球種ですべてストライク率は7割以上。どの球種でも追い込むことができる。

150キロ未満→故障のリスクが低い見立ても

 空振りはフォーシームで10個、スイーパーで3つ。ふつうは空振りが多いはずのスプリッターは、空振りナシ。50%の11球をバットに当てられているが、ほとんど当たり損ねで安打は1本だけ。今永のスプリッターは佐々木朗希や千賀滉大に比べて回転数が多く、変化量が小さい代わりにバットの芯をずらす球になっていると思われる。

 奪三振はわずか4つ。打者はどんどん追い込まれる中、来る球に手を出して凡打の山を築いたわけだ。以下は今季のトータルの成績から、左右別の打者の成績。

 右打者39打3安1本4球8振 率.077
 左打者22打4安0本2球2振 率.182

 本来苦手なはずの右打者にほとんど打たれていない。左右の打席の別なく、打者を料理し退けていることがわかる。さらにドジャース、ダイヤモンドバックス、パドレスとナ・リーグの強豪チームと当たって好投を続けているのも頼もしい。

【次ページ】 “遅い速球”=故障のリスクが低い見立ても

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