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青学大原監督「1万mの記録は箱根駅伝の順位と相関性がある」は本当か? “速ければOKじゃない”意外な関係 

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酒井政人

酒井政人Masato Sakai

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photograph byNanae Suzuki

posted2021/12/16 11:05

青学大原監督「1万mの記録は箱根駅伝の順位と相関性がある」は本当か? “速ければOKじゃない”意外な関係<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2020年はエントリー上位10人の10000m平均タイムと箱根駅伝の順位がともに1位だった青山学院大学

 全日本大学駅伝が11月上旬にあるため、試合スケジュールと気象条件を考えると、11月後半から12月前半は10000mのタイムが最も出やすい時期だ。そこでタイムを狙う大学と、本気で狙わない大学がある。

 青学大の原晋監督は箱根駅伝に向けてのコンディショニングには絶対的な自信を持っているが、青学大はタイムを本気で狙っていない。箱根駅伝の監督トークバトルで原監督はこんなことを話していた。

「青学大は10000mでチーム上位10人のうち8人をエントリーできました。外れた2人(小原響、山内健登)はMARCH対抗戦を28分30秒前後で走っているんですけど、トラック系の練習に落としたかたちでの出場だったので、メンバーには入れていません」

 青学大は11月24日のMARCH対抗戦で10000m28分台を連発させた。しかし、10000mの練習をして臨んだわけではなく、箱根駅伝を見据えたトレーニングの流れのなかでの出場だった。全体トップを奪った近藤幸太郎(3年)のタイムは28分14秒34で、自己ベスト(28分10秒50)に届いていない。近藤の実力を考えると、もう少しレベルの高いレースに出場していれば27分台を十分に狙えたが、原監督は無理をさせなかった。箱根駅伝を狙うための10000mとしては9割ほどの本気度で“正解”なのだ。

 青学大のように箱根駅伝出場校の大半は冬季の10000mにバッチリ合わせているわけではないが、人間どうしても欲が出てくる。原監督のようにドライに対応できる指揮官は多くない。東洋大も冬季の10000mレースには積極的に参戦していないため、平均タイムが低いのだ。

10000m好タイムの代償は小さくない

 全日本大学駅伝で3位に入った順大も同様だ。監督トークバトルで三浦龍司(2年)の10000mについて問われた長門俊介駅伝監督は、「ぶっちゃけ、27分40秒ぐらいは簡単に行っちゃうと思いますよ」と答えている。なお三浦の10000mベストは故障上がりで出場した10月16日の順大競技会でマークした28分32秒28。本気で狙えば、自己ベストを1分近く短縮できた可能性はあったが、長門監督は10000mに出場させなかった。

 そこには明確な理由がある。10000mで好タイムが出ると、それが大きなダメージになり、箱根駅伝にうまく合わせることができないからだ。順大の選手でいうと、塩尻和也(現・富士通)の例がわかりやすい。

 塩尻は大学3年時に八王子ロングディスタンス(2017年11月25日)の10000mで27分47秒87(当時・日本人学生4位)をマークするも、箱根駅伝は2区で区間10位と苦戦した。翌年は10000mレースに出場せず、トレーニングに集中。最後の箱根は2区で日本人最速(当時)となる1時間6分45秒で突っ走ったのだ。

【次ページ】 日本人最高タイムを出した田澤はどうなる?

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