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物足りない1-0だけど…森保Jで久保建英が見せた「サイドを選ばない2人」との化学反応
posted2020/11/14 13:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
彼らの力関係を考えれば、これぐらいやってもらわなければ困る。1対0の勝利では、率直に物足りない。
それでも、11月13日のパナマ戦で見せた日本代表のパフォーマンスが、攻撃面で見どころがあったのも事実である。
森保一監督は3-4-2-1のシステムを選び、10月の2試合では出場機会のなかった板倉滉と三好康児、出場時間の短かった植田直通、それに10月は招集できなかった橋本拳人をスタメンに指名した。体調不良で招集に応えられなかった長友佑都も、昨年11月以来の出場である。
サイドを選ばない3人による「1トップ+2シャドー」
システム、メンバーともに実験的な意味合いを持つチームで、注目されたのは1トップ+2シャドーの組み合わせだろう。大迫勇也、堂安律、中島翔哉らが招集外のなかで、南野拓実が1トップに入り、久保建英と三好が2シャドーで起用されたのである。
日本代表でも、所属するビジャレアルでも、久保の起用を巡る論点に「サイド」がある。左右どちらが適性かと言えば右サイドだが、左サイドでもプレーできる。この日も左サイドが基本の立ち位置となったが、ポジションの流動性が許されれば、より多くの場面で特徴が引き出されていく。
この日の1トップ+2シャドーはポジションを入れ替えることのできる3人だった。南野は左右両サイドと中央でプレーでき、三好もサイドを選ばないタイプだから、開始早々から流れのなかで久保が右サイドにポジションを取ったり、中央に立ったりした。彼らのポジションが入れ替わった際の守備のバランスも、ひとまず最終ラインに大きな負荷がかかることはなかった。
3-4-2-1のシステムで久保をどう生かすか
攻撃では興味深いコンビネーションが見られた。
15分、柴崎岳のパスを受けた左ウイングバック長友が、左シャドーの久保にパスを出す。久保はサポートしたボランチの橋本にボールをつなぎ、橋本が左サイドのスペースへワンタッチでボールを送ると、走り込んだ長友へつながった。
左ウイングバックがタッチライン際のレーンを使えば、久保はもうひとつ内側のレーンでプレーできる。いくつかの選択肢を持つことができ、それが相手を惑わす。長友との「縦のつながり」が見えたこの場面は、3-4-2-1のシステムで久保をどう生かすかの好例だった。