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「望外の結果でした」藤井聡太14歳“衝撃の七番勝負”で唯一勝ち、“逆転負け失冠”直後「藤井さんにVSメールを…」名人挑戦・永瀬拓矢の凄み

posted2025/04/09 17:51

 
「望外の結果でした」藤井聡太14歳“衝撃の七番勝負”で唯一勝ち、“逆転負け失冠”直後「藤井さんにVSメールを…」名人挑戦・永瀬拓矢の凄み<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

藤井聡太と永瀬拓矢。長年の研究パートナー同士で知られるカードが、名人戦で実現している

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近年の将棋界で、タイトル戦の中心に立つ藤井聡太七冠と永瀬拓矢九段。名人戦で再び相まみえる2人の関係性を「Number」「NumberWeb」掲載記事からあらためて知る。(棋士の段位・称号は初出以外省略)

斬新な羽織の藤井、永瀬は寿司盛り合わせを

<名言1>
自分の実力が出し切れたと思います。本当に望外の結果だったと思います。
(藤井聡太/NumberWeb 2023年12月7日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/859774

◇解説◇
 将棋界最古のタイトル戦と称される、第83期名人戦第1局が9日、ホテル椿山荘東京で開幕した。3連覇がかかる藤井聡太名人は「黒地に小豆色の太めの縞入り」という斬新な羽織を着用し、永瀬拓矢九段が1日目の昼食に「にぎり寿司盛り合わせ」を注文するなど、1日目の昼食での早くも盤上盤外で注目を集めるが――8日に行われた前夜祭の各スピーチでは日本将棋連盟の羽生善治会長から「令和のゴールデンカード」と期待する声も上がった。2人は対局の舞台から離れても「VS」と呼ばれる1対1の研究を行うなど、お互いを高め合っているという関係性も、将棋ファンにとっては特別なものと言えよう。

 名人戦第1局開始前の公式戦対戦成績は、藤井22勝、永瀬8勝(2千日手)。八大タイトル戦ではこれまで棋聖戦(2022年)、王座戦(23、24年)、王将戦(2025年)と計4回の番勝負があり、藤井が八冠全冠独占なった23年の王座戦を筆頭に、すべて藤井に軍配が上がっている。その一方で、藤井が最年少名人への挑戦権を掴み取った2022年度の順位戦A級8回戦で永瀬が勝利した一局なども、印象深いものとなっている。

中学生・藤井聡太の七番勝負に唯一勝った永瀬

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 さらに――この公式戦に含まれない“初対決”がある。

 ABEMAで2017年に放映された『炎の七番勝負』である。中学生棋士として注目された藤井四段(以下すべて当時の段位)に対して、若手有望棋士からタイトル経験者まで7人が非公式戦ながら相まみえるという企画だった。その面々は増田康宏四段、永瀬拓矢六段、斎藤慎太郎六段、中村太地六段、深浦康市九段、佐藤康光九段、羽生善治三冠と将棋ファンなら知らない名前がない棋士たちが並んだ。ゆえに当時から注目されていた藤井とはいえ苦戦が想定されたのだが……天才中学生棋士は彼ら相手に白星を積み重ねていき、最終局では羽生を投了に追い込み、世間に大きなインパクトを残すきっかけとなった。

 当時14歳の本人は冒頭の言葉通り「望外」という表現を使ったが――当時からそのポテンシャルは規格外だったと言えよう。

【次ページ】 いくら将棋のことを考えていても楽しい、という印象

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