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物足りない1-0だけど…森保Jで久保建英が見せた「サイドを選ばない2人」との化学反応
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2020/11/14 13:00
後半の久保はトップ下のようなポジションで南野との連携を深めた
30分には1トップ+2シャドーの連携でパナマを脅かす。
右DFの植田が中央へ斜め前のパスを入れると、南野がスルーする。背後には久保がいる。ワンタッチで三好へパスをつないだ。三好の抜け出しがわずかに早く、オフサイドになってしまったが、今度は3人の「横のつながり」が見えた。
1トップ2シャドーを中心とした連携は、後半になるとさらにスムーズになっていく。58分、後半から出場した遠藤航がセンターサークル内でボールを受け、最前線の南野へパスを通す。背番号10のすぐ左には、背番号17がいる。南野はワンタッチで久保へつなぎ、久保は左サイドへ展開する。
長友に代わって出場したばかりの原口元気がラストパスを供給すると、久保、南野、三好に加えて右ウイングバックの室屋成もゴール前へ飛び込んでいった。「縦と横のつながり」によって、かくも厚みのある攻撃が展開されたのだった。
連動し始めた「久保南野コンビ」から先制点が
決勝点となるPK奪取も、スムーズな連携に基づいていた。
最終ラインとMFのラインの間に立つ久保に、遠藤が縦パスを通す。「自分が受けたい位置で素晴らしいボールが来た」という久保は、トップ下の位置で前を向くことができた。しかもフリーである。相手のセンターバックがすぐに間合いを詰めてきたが、その瞬間にボールは彼の足元を離れ、ペナルティエリア内へ侵入した南野へのラストパスとなる。飛び出したGKを交わそうとした南野が倒され、日本はPKを獲得したのだった。
南野がネットを揺らして1対0とした直後にも、日本は相手ゴールへ鋭く迫っている。自陣右サイドの柴崎が縦パスを入れると、センターサークル付近の南野がワンタッチで久保にボールをさばく。スペースへランニングする室屋へ、久保からスルーパスが通った。
室屋は内側からサポートする南野へボールを託し、背番号10は左サイドからペナルティエリア内へ侵入した原口にシュートを打たせる。DFのブロックで追加点とはならなかったものの、淀みなくボールが動きながらフィニッシュまで持っていった。