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「カブス今永昇太は9位に上昇」センバツ球児が選ぶ“好きなプロ野球選手”ベスト10「なぜ1位は大谷翔平でなく鈴木誠也だったのか?」理由を考察
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph byNanae Suzuki
posted2025/03/23 11:01

MLB開幕戦で来日したドジャースの日本人選手たち
鈴木誠也が人気の理由
まず、1から考えよう。メディアの報道量を考えれば、大谷がずっと1位を取り続けても不思議ではない。だが、過去5年で栄冠は昨年のみ。彼と比べ、圧倒的に取り上げられる機会の少ない鈴木誠也がなぜ1位になったのか。
13年のドラフト2位で二松学舍大附から広島に入団した鈴木は4年目にレギュラーを奪い、25年ぶりの優勝に貢献。18年までの3連覇中、主軸を打ち続けた。19年、21年には首位打者を獲得し、22年にポスティングでシカゴ・カブスに移籍した。
メジャー1年目、打率.262、14本塁打、46打点に終わると、誠也は成績に落胆しながらも前を見据えた。
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〈全然、駄目です。正直、見たくない。でも、そこに自分で可能性を感じているか、いないかで、また次は変わってくる。もっと頑張れば、どうにかなる感覚はあります〉
オフについて聞かれると〈ロッキーの歌を流して毎日練習する。死ぬほどやりますよ〉と答え、〈久々に何か高ぶっています。絶対にこいつらを蹴散らしてやるって〉(以上、2022年12月22日配信/サンスポ)とやる気をみなぎらせた。
雪辱を期した2年目は.285、20本、74打点と成績を上げ、3年目も.283、21本、73打点と数字を残した。努力で壁を打ち破った過程に、球児が惹かれたのではないか。
高校生が共感? 逆境乗り越える姿
実は、打率.280、20本塁打、70打点を2年連続で達成した日本人メジャーリーガーは04年、05年の松井秀喜、一昨年、昨年の大谷と誠也の3人しかいない。もっと評価されてしかるべき記録なのだ。その凄さに、球児は気付いているのかもしれない。
大谷は高校時代から類まれな体格を持ち、プロでは猛批判に遭った二刀流で成功。メジャーでも投手と野手を両立させて歴史を塗り替え、MVPを3度受賞。ドジャース1年目の昨年は54本塁打、59盗塁をマークし、ワールドチャンピオンに輝いた。
不断の努力によって、大谷がこの地位に上り詰めたのは間違いない。ただ、球児は「頑張れば届くかもしれない人」を「好きな選手」に挙げる傾向を持つ。
つまり、マネのできない大谷よりも、高校卒業後に広島の猛練習で鍛え上げられ、MLBで揉まれながら成長している誠也のほうが現実的な目標にしやすいのではないか。
誠也を「好きな選手」と記入した主なセンバツ球児の「好きな言葉」はこうなる。
〈魂〉〈気持ち〉〈気合と根性〉〈負けてたまるか〉
〈我武者羅〉〈勝利への執念〉〈努力は裏切らない〉〈やればできんねん〉
〈継続は力なり〉〈奇跡は努力から始まる〉〈何とかなる〉〈なんとかする〉
〈将来の君は今頑張る自分に感謝する〉〈人生送りバント精神〉
誠也を表すかのような地道な努力系や精神面のワードが並んでいる。
山本由伸はまさかの急落…なぜ?
一方、球児が誠也の成長に惹かれたと考えると、山本由伸の人気急落は不思議に思える。