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浅野翔吾「強いジャイアンツを引っ張っていきたい」プロ3年目の大器が描く未来像と、岡本和真に贈った「めちゃくちゃ美味い」お歳暮とは
posted2025/03/27 10:00

春季キャンプでは精力的にバットを振り込んだ浅野
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Hideki Sugiyama
「めちゃくちゃ美味かったっスよ。麺が違う! コシが違います!」
ジャイアンツの主砲・岡本和真をここまで感動させたのは8歳年下の浅野翔吾だ。
昨オフ、浅野は岡本の自宅に“お歳暮”を贈った。故郷の香川と言えば、言わずと知れた「うどん県」。愛する地元のうどん店からレンジで解凍するだけで簡単に食べられる冷凍のうどんセットを大量にプレゼントしたのだ。
「和真さんにはめちゃくちゃお世話になっていますから。僕も大好きなうどんです。凄く美味しいって喜んでくれて、後からさらに“お取り寄せ”したみたいなんです。僕に言ってくれたらすぐにまた送るのに……」
キャンプ中、そう話していた20歳は本当に嬉しそうだった。
浅野にとって岡本は、その大きな背中を追う存在である。身長は15cm、体重も15kgほど大きな主砲は、打者としては全く違うタイプだが、チームの勝敗を担う存在としての勝負強さ、責任を負う姿に憧れている。
「(岡本は)覚悟を持って戦っていると思う。僕自身、体は大きくないですけどいつかチームを引っ張れる選手になれるように。いつかチームに対して責任を持てる存在になれるようにやっていきたいです」
昨シーズンは浅野にとって大きな経験を積んだ1年となった。前半戦は二軍で修練の日々を過ごしたが、8月に一軍昇格を果たすとプロ初の満塁ホームランを放つなど、月間打率.348、3本塁打と活躍。シーズン最終盤の痺れるような優勝争いを経験し、最後は4年ぶりリーグ優勝の瞬間に立ち合い、歓喜の美酒……ではなく炭酸水のシャワーに笑顔が弾けた。
尊敬する先輩の励ましの言葉
激しい優勝争いの日々の中で、ちょっぴり苦い経験も味わった。9月21日の広島戦では、8回に広島の小園海斗のライト前ヒットを後逸。これがチームの逆転負けにつながり、試合後はベンチでタオルを頭からかぶって涙した。この時、傷心の19歳を励ましてくれたのがたくさんの先輩がかけてくれた言葉だった。
岡本からはLINEで「俺らがカバーするから、何も考えずにのびのびプレーしたらいいんやで」と激励のメッセージが届いた。3月27日発売の特別編集『読売巨人軍90周年+NEXT「伝説のナイン・ストーリーズ」issued by Number』では、岡本がインタビューの中でこの時の出来事を振り返っている。主砲はなぜ、8歳年下の若者の窮地を放っておけなかったのか。脳裏によぎった自身の駆け出し時代の思い出とは……。
一方の浅野も、特別編集号の「未来を担うナインたち。」と題した連続インタビューの中で憧れの先輩たちの大きな背中について振り返り、5年後、10年後の未来に目指す理想像について熱く語っている。