サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
日本代表の新たな課題は攻撃と「勇気」 焦点はコーチ…「W杯後の無関心」を招かないための“第2期森保ジャパン強化案”を識者が考え合った
posted2023/01/02 17:02
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
クロアチア戦の後半が残念だった理由
――木崎さんから「クロアチア戦の後半以降」についての言及がありましたが、具体的にどのような点に問題を感じていたのでしょうか?
木崎 1点をリードした前半は凄くいい形で試合を進めていました。ボールをつなぎ、サイドチェンジのパスも数多く通るなど、日本の特性が出たという意味で、すごくいいサッカーをしているように思いました。でも残念だったのは後半。相手が戦い方を修正した時の対応です。クロアチアの変更点は2つあって、サイドに選手を集めてきたのと、高い位置でのプレスでマンツーマン気味についてきたことです。一方で日本は今大会で初めて先制したのもあるけど、そこからリスクを避けた戦い方になってしまった。
選手の言葉をまとめると、後半最初のビルドアップ時に2、3回立て続けで危うかったそうなんです。そこでロングボールを蹴るようになってしまった。でも結局それがうまくいかず、蹴っては回収されるの繰り返しになってしまった。酒井宏樹を交代で入れて、そこをロングボールのターゲットにしても、相手の左サイドバックが巧みにファールを引き出し、ほぼクロアチアボールになった。なぜ前半にいい戦いをした日本が、急に後半は弱気になってしまったんだろうと。
飯尾 グループステージ3試合の話に通じるけど、ドイツ戦やスペイン戦のような1点ビハインドだったら勇気を持って仕掛けるしかない。だけどコスタリカ戦やクロアチア戦では、それができなかった。森保監督はこの4年間のテーマとして自主性・主体性を挙げていたけど、さらに次に進むためには「攻撃のデザイン」とともに「リスクをかける勇気」というものが浮き彫りになったのでは。「リスクを冒せ」とはオシムさんがよく言っていましたが、“ドイツ戦で掴んだ勝点3”や“クロアチア戦でもぎ取った先制点”というように守るものができた時の弱さを振り払わないといけない。
――確かに過去6大会のW杯を振り返っても、“早い段階で先制しながらも逆転負け”で一気に崩れた試合があります。06年ドイツW杯オーストラリア戦(●1-3)、14年ブラジルW杯コートジボワール戦(●1-2)などです。
飯尾 言ってしまえばロシアW杯ベルギー戦(●2-3)もそうじゃないですか。2点リードを奪った途端に弱気の虫が出てきたわけです。そこは日本人が次に克服しなきゃいけないメンタリティなのかもしれない。
木崎 あれだけ長友佑都が「コラージョ(イタリア語で勇気の意味)」と言ってたんですけどね。
飯尾 そう。長友がよくその言葉を口にしていたけど、彼は今大会、ハーフタイムか後半途中で交代していた。だからこそ長友的なメンタリティはチーム全体に必要なんだと思います。サッカーはメンタルも重要視される中で、日本は11人のうち3、4人が弱気になると、それが伝播する傾向がある。逆にヨーロッパや南米の強国は弱気な選手が出ても他の選手が個々で強いパーソナリティをもって戦いきってしまうから。
メッシの関係者から聞いた“PK戦の課題”の本質
木崎 勇気という意味では、クロアチア戦のPK戦も課題が出たと思います。その前に触れておきたいのが、キッカーについて立候補制に賛否が起きたことです。ただこれは別に普通で、オーソドックスなやり方だと思います。