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日本代表の新たな課題は攻撃と「勇気」 焦点はコーチ…「W杯後の無関心」を招かないための“第2期森保ジャパン強化案”を識者が考え合った
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/01/02 17:02
続投が決まった森保一監督。横内昭展コーチらが離れる中で、どのような日本代表を再構築するのか
ディスカッションを日本のお家芸にすることで…
飯尾 自分たちのサッカーを貫こうとした14年のブラジル大会のザックジャパンもそうでしたが、ひとつのスタイルを磨くと完成度は高まるけれど、相手からは対応しやすい、読みやすくなりますよね。ちなみに木崎さんはこれまで「代表チームをクラブチーム的にした強化が効率的では」と話してきましたが、それはクラブのベースを代表に持ってくるということですよね?
木崎 はい。ベースがあった方が望ましいと考えています。それとともに代表活動に割ける時間が少ない中、シンプルな原則のもとで積み上げていくという2つの軸があります。それは同じクラブでやっている選手が多いほど進めやすい。そのアドバンテージは依然としてあると思います。
飯尾 それを日本代表でやろうとすると、なかなかベースになり得ないのかなとも感じます。最終予選では少しフロンターレ化しましたが、その時に比べると川崎的なスタイルとは違っているところがある。
木崎 でもカタールW杯のメンバーリストを見直すと、フロンターレ出身者は多かった。
飯尾 谷口彰悟、守田英正、板倉滉、田中碧、三笘薫ですね。ベースになり得るJクラブができ始めたのはものすごく大きいとも感じます。
木崎 第2回のスペイン戦でも触れましたが、守田が谷口に対して守り方を指示して試合中に修正ができましたからね。
飯尾 そうですね。今回のW杯での戦いぶりを見て、今後はもう少し戦術ベースを詰めた方がいいと思います。ただ先ほども言ったように、代表チームは活動期間・準備期間が短いから、どうやったってクラブレベルのクオリティにはならない。だから妥協は必要で、足りない時間をどう埋めるのか、詰め切れない戦術の細部をどう埋めていくか。
それを埋めるものこそ、今回試みた主体性を持ったディスカッションだと思うんです。これも、ローテーションの話と同様、日本のお家芸にしてほしい。もちろん、選手間の話し合いをどこまで許すかは監督次第ですが、戦術を決めるという大きな話ではなく、細かい部分はいくらでも話し合って詰めたほうがいいので。
森保監督続投に“当初は反対”だった理由
――では最後に近未来についても聞ければと。森保監督の続投が決まりましたが、それについてはどう考えていますか?
飯尾 いまは続投でもいいんじゃないか、という考えになりましたが、それまでは基本的には反対でした。理由としてはここまで話してきたように、森保監督のもとで主体性や自主性、臨機応変さを身につけて戦うチームになって、アジア勢では初となる2大会連続決勝トーナメント進出という結果を残した。新しい景色こそ見られなかったけど、新しいステージに入った。それなら、新しいステージに挑むためのふさわしい監督がいるのでは? と。
木崎 つまり、戦術面のベースをもっと突き詰められる人物を探す。