スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
箱根駅伝“意外なデータ”を発掘「駒澤大OB田澤も青学大OB近藤も高校時代はトップクラスではなかった」現役大学生に教えたい“4年間の伸びしろ”
posted2023/04/30 17:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
JIJI PRESS
新年度を迎え、陸上界だと有力な高校生がどの大学に進んだかが気になるところ。
だが、今回は今春に卒業した4年生が、高校時代はどうだったのか、そして大学4年間でどう成長したのか、その「因果関係」について考えてみようと思う。
参考にするレースは、2019年1月に行われた都道府県対抗駅伝。
このレースを走った高校生が、4年後にどうなったか? ということを考えてみたい。
これが、「発見の宝庫」だった。
都道府県対抗駅伝では、1区、4区、5区が高校生区間になるが、箱根駅伝を沸かせた選手たちがわんさか走っていた。
【1区】「世界のミウラ」も世代トップではなかった
まずは1区。出遅れてはいけないので、勢いのある選手を起用する区間だ。
2019年の区間賞は、新年度の早大の主将を務める菖蒲敦司(西京・当時2年)。菖蒲は前年のインターハイの3000m障害で3位に入っており、この世代ではトップランナーのひとりに数えられていた。
また、菖蒲だけでなく、1区の上位に未来の「W」、早大勢が複数入っているのは特徴的だ。早大の場合、推薦条件として全国大会の上位者であることが明示されており、高校2年の時点で成功を収めた選手が入学する傾向が強い。これは早大のリクルーティングの強みであり、またリスクでもある。
この年の1区で注目されるのは、3000m障害で「世界のミウラ」になった三浦龍司(洛南・当時2年)が区間5位にいることだ。
三浦はこのあと、高校3年で日本選手権の3000m障害で決勝に進むなど際立った存在になるが、この時点では同輩たちに先着を許していた。決して世代トップだったわけではない。
他にも1区を走ったメンバーには各大学の屋台骨を背負うことになる選手たちが目立ち、東洋大の児玉悠輔(東北)、公立校から青学大に進み、1年生から活躍した岸本大紀(三条)、明大のエース・小澤大輝(韮山)、日体大の藤本珠輝(西脇工)らが顔を揃えていた。
上位に入った選手たちは、進学先の大学で存在感を示したといえる。
【4区】青学大OB近藤幸太郎は47人中26位だった
4区に入る前に、ちょっと脱線。この駅伝では、2区が中学生区間、3区がオトナ区間となる。この時の2区のメンバーが面白い。駒大に進むことになる山川拓馬(箱根で5区担当)、伊藤蒼唯(箱根で6区区間賞)、中大に進学する吉居駿恭、溜池一太が顔をそろえており、箱根の優勝校、準優勝校の1年生が並んでいるのが興味深かった。
そして高校生区間に戻って4区の区間賞は、「よこたっきゅう」こと、横田俊吾(学法石川→青学大)だった。