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久保建英、3戦目の先制ゴールは“何がスゴかったのか?”…中西哲生に聞く「実は難易度が高い」〈NZ戦で三笘起用あるか〉
posted2021/07/30 17:02
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph by
JIJI PRESS
森保一監督率いる日本が、準々決勝に進出した。7月28日開催のグループステージ第3戦、対フランス戦は4対0の大勝に終わった。
メキシコ戦と同じように前半を2対0で折り返し、メキシコ戦と同じように後半途中で数的優位に立った。最終的に1点差に詰め寄られた前回の試合を教訓として、クリーンシートで3連勝を達成した。スタメンの入れ替えや主力選手の途中交代など、決勝トーナメントを見据えたマネジメントもできた。
五輪のグループステージで初の3連勝となったフランス戦を、お馴染みの中西哲生氏に振り返ってもらう。パーソナルコーチを務める久保建英のプレーの解析はもちろん、ニュージーランドとの準々決勝の展望も興味深い。
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危なげない勝利でした。
フランスはメンバー編成に苦しみ、ベストメンバーに遠い。彼らの状況を考えると手放しでは喜べないですが、そうは言ってもフランスであり、日本がスキを見せなかったのは事実です。
メキシコ戦と同じように、途中から相手が10人になりました。ここで自陣で不用意なファウルをして、直接FKを差し出すようなことはしなかった。さらにリードを広げて試合を終わらせたのは、メキシコ戦の後半を反省材料にしたからでしょう。
ゲームの分岐点は先制ゴールにありました。
「遠藤航×田中碧」の絶妙なポジショニング
フランスは守備の局面で4-5-1に構え、ボールの供給源となる遠藤航と田中碧を警戒してきました。ダブルボランチから前へボールを入れさせない守りかたをしてきたのですが、田中がすかさず反応します。遠藤と横並びにはならずに、少し前へポジションを取ったり、いつもより微妙にサイドヘ開いたりと、捕まえにくいポジションを取っていきます。アンカーのような立ち位置となった遠藤も、フランスの狙いはもちろん察したでしょう。
久保が「パスを出せ」オーラを強く発さなかった理由
トップ下の久保も呼応しました。センターバックとサイドバックの間や、アンカーとインサイドハーフの間などに立つのです。ボールにたくさん触ることはできなくても、DFラインとMFの間に辛抱強くとどまり、とくにアンカーの脇のスペースを意識して、相手が嫌がる立ち位置を取っていた。
それでいて、久保は「パスを出せ」というオーラを強く発しない。田中も遠藤も、「久保へのパスを狙っているぞ」という雰囲気を匂わせない。これはもう、攻略のタイミングをはかっていたと理解するべきでしょう。そのなかで、田中が「スパン!」と音がするような縦パスを通したことから、1点目が生まれます。