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久保建英にからかわれるのも“重要任務” 橋岡大樹「酒井選手も信用してくれて…」スペインの闘将2人に憧れ、尾崎豊を熱唱するムードメーカー
posted2021/07/31 11:07
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
メキシコとのグループステージ第2戦、試合終盤に声が掛かったものの、ピッチサイドに立っているときにタイムアップの笛が鳴った。
ようやくチャンスが巡ってきたのは、フランスとの第3戦の55分だった。当初の18人の登録メンバーのうち(のちに22人に変更)、フィールドプレーヤーで最も遅い初出場となった。
だが、そんな男が7月31日に行われるニュージーランドとの準々決勝に向けて、にわかに注目を集めている。
オーバーエイジのひとりで、不動の右サイドバックである酒井宏樹が、出場停止のために欠場するからだ。
酒井からは「常に準備をしておけよ」と
「心構えはできています。酒井選手も僕を信用してくれているというか。『常に準備をしておけよ』と言われているので、僕自身、問題ないと思います」
ニュージーランド戦を2日後に控えた7月29日のメディア対応で、橋岡大樹は落ち着いた表情できっぱりと言った。
もともとの本職はセンターバックだが、アカデミーからトップチームに昇格した浦和レッズでプロ2年目の2018年、3バックの右ウイングバックとして定位置を掴んだ。
1999年生まれだから、1997年生まれ以降の選手で構成される東京五輪代表チームで年下の世代。このチームに招集された回数は決して多くなく、当落線上のメンバーだったと言っていい。
このままでは序列をひっくり返せない――。そんな思いもあったのかもしれない。橋岡が一大決心を固めるのは、今年1月のことだ。
延期された東京五輪の開幕を半年後に控え、慣れ親しんだ浦和からベルギー1部のシント・トロイデンへの移籍を決めるのだ。
ヨーロッパはシーズンの真っ只中。ポジションの保証があるわけでもなく、試合に出られなければ、東京五輪出場がさらに遠のくにもかかわらず。