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冨安健洋や上田綺世が復帰、主力を休ませつつ“交代枠”も大活躍で3連勝… “順調すぎる一抹の不安”をねじ伏せろ〈五輪サッカー〉
posted2021/07/29 17:03
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Yohei Osada/AFLO
すっかり騙されていた。南アフリカとの初戦前日に左足首を負傷したDF冨安健洋のことである。
メキシコとの第2戦前日、15分だけ公開された練習では、チームメイトに混じって笑顔で"鳥かご"を楽しんでいたから、復帰は間近と予想された。
ところが、蓋を開けてみたら、メキシコ戦は2試合連続となるベンチ外――。
メキシコ戦翌日の練習場に、冨安の姿はなかった。スタメンの11人は宿舎で静養し、それ以外の10人が約1時間半みっちりと汗を流したのに対し、冨安は別会場でひとり調整中とのことだったから、まだ激しい練習ができないのだろうと想像していた。
スタメンどころかフル出場の冨安・上田
が、スタッフが付きっきりでしっかりトレーニングを積んでいたのだろう。7月28日に行われたフランスとの第3戦では、いきなりスタメンに起用されたばかりか、90分間フル出場を果たすのだ。
「まだ100%ではないです。キックは別に大丈夫なんですけど、ターンで無駄にステップを踏んじゃったりとか。患部をかばってやっているので、それが新たなケガに繋がらないようにしないといけない」
冨安はそう振り返ったが、センターバックの穴を埋めた板倉滉を今後、ボランチで起用できるようになることも含め、戦力が大幅にアップしたのは間違いない。
大会直前の負傷で出遅れていたFW上田綺世もこの日、ついにスタメン復帰を果たし、冨安と同じくフル出場を飾った。ここに来て、ようやく役者が出揃ったのである。
フランス戦の焦点はスタメンの選考だった
1点差で敗れてもグループステージ突破が決まるフランス戦。この試合の焦点のひとつが、スタメンの選考だったのは確かだ。
舞台は酷暑の日本、金メダルを獲得するには、中2日の試合間隔(準決勝から決勝のみ中3日)で6試合を戦い抜く必要がある。