サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
久保建英、3戦目の先制ゴールは“何がスゴかったのか?”…中西哲生に聞く「実は難易度が高い」〈NZ戦で三笘起用あるか〉
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byJIJI PRESS
posted2021/07/30 17:02
フランスに4-0と完勝した日本代表。久保建英は3試合連続ゴールでチームを牽引した
縦パスを引き出した久保も、しっかり準備をしていました。身体に染み込んだルーティンを遂行していきます。
パスのスピードに合わせて、バックステップを踏む。それによって、重心が上がる。重心が上がることで、ボールの上半分を触りやすくなる。トラップの瞬間に足を引かなくても、身体の真下でボールはピタッと止まる──。
この場面では右足のインサイドに引っ掛けるように止め、すぐに左足で持ち出し、上田綺世にパスを通しました。トラップをした瞬間に身体を反転させるのに、逆足のインサイドでの持ち出しは合理的なメカニズムなのです。
久保のシュートは「簡単ではありません」
ADVERTISEMENT
上田のシュートをGKが弾くと、旗手怜央がDFともつれるように飛び込む。彼が触れずにゴール前に残ったボールを、久保がプッシュしました。パスを出したあとも足を止めず、きっちり詰めていたことで生まれた先制弾です。田中から縦パスを受けた動きも含めて、オフザボールの局面でのクレバーさを評価されるべきでしょう。
シュートも簡単ではありません。右前からDFが詰めてきて、旗手ともつれたDFがコースを塞ぐように倒れている。そこで、シュートブロックをしてきたDFの股間を抜き、倒れているDFの身体をかすめた一撃がGKを無力化した。
ラ・リーガ1シーズン目のマジョルカで、ゴール前のこぼれ球に反応して決めたシュートがありました。ショートバウンドのボールをインカーブで蹴り込んだもので、このシーンもほぼ同じシチュエーションでした。
ピッチから弾んで上がってくるボールは、上から下へ落ちるボールよりインパクトが難しい。シュートが浮きがちで、下に転がりがちにもなる。それでも的確な高さへ持っていったこのシュートは、実は難易度が高いものでした。だからこそ、GKは反応しにくい。
南アフリカ戦の得点と同じように、シュートが決まるフォームをしっかりと作り出すことができていました。縦パスを受けたあとのトラップと同じように、これもまた繰り返しのトレーニングで身体に染み込ませたものです。
調子が上向きの選手が揃っている
この試合では、上田と旗手が初先発しました。上田は得点こそあげられなかったものの、前線でボールを収めながらパスを受ける、止める、シュートへ持っていく、というプレーができていた。コンディションが上がっていることをうかがわせました。