楽天、西武は社会人で競合の可能性も。

●楽天　即戦力の先発→吉田一将（JR東日本）

　開幕から負けなしの24連勝を達成した田中将大のメジャー移籍が有力視されている。もしいなくなったら先発は則本昂大、美馬学、辛島航と、今季不調だった塩見貴洋、釜田佳直、永井怜で回していくことになる。特別悪いようには見えないが、則本が2年目のジンクスに陥って活躍できないようだとチーム瓦解の危険性も孕んでいる。

　今年の候補の中で最も即戦力度が高いのが吉田一将。ストレートは楽に腕を振って最速148キロを測定し、これにキレ味抜群のスライダーを交えたアウトローへの出し入れは安定感抜群。昨年から都市対抗→日本選手権→都市対抗と大舞台で3大会連続準優勝の原動力になっているように、実力の高さには文句がない。

　一方で松井稼頭央（遊撃手）の後継者も望まれている。西田哲朗（22歳）、三好匠（20歳）が現在の有力候補だが、高いレベルの後継者争いを望むならここに渡辺諒（東海大甲府）クラスを放り込みたい。

●西武　即戦力の先発→吉田一将

　今季シーズン後半、怒濤の8連勝で4位から2位に躍進し、昨年までの31年間でBクラス2回という底力を見せつけた。大きな力になったのは打点王に輝いた浅村栄斗以下、ヘルマン、栗山巧、秋山翔吾という安定勢力に、シーズン後半、故障から復活した片岡治大、中村剛也の打撃力。年齢的に言ってもこの6人は来年も活躍が見込めるので、課題が投手陣にあることは一目瞭然。

　石井一久の引退、涌井秀章のFA移籍が有力視される中、即戦力投手の獲得は急務である。リリーフ陣は悪い、悪いと言われながらサファテ、ウィリアムスに増田達至、大石達也、高橋朋己が出てきたので戦える陣容。手薄なのが先発陣だ。岸孝之、牧田和久、十亀剣、菊池雄星、野上亮磨に、シーズン後半、岡本洋介が出てきたが、まだまだ足りない。十亀の日大、JR東日本の後輩、吉田一将が最もチームにマッチすると思う。

●ロッテ　高校生投手→松井裕樹

　過去5年間の上位指名は投手、野手に関係なくすべて大学生・社会人の即戦力。そもそも高校生は3位以下で4人指名しただけである。そんな若さがないドラフトを展開してきたロッテだが、チームを3位に押し上げた功労者、伊東勤監督が言外に「松井がほしい」とアピール。チームに若さを注入する意味でも松井裕樹の指名・獲得は重要な意味を持っている。

　投手陣は成瀬善久、西野勇士が後半に失速、主戦級の働きが期待された唐川侑己、藤岡貴裕も中途半端な成績に終わった。進境著しい松永昂大、古谷拓哉、リリーフの益田直也、内竜也などもいて数は足りている。必要なのは将来を託せる先発タイプの本格派だ。若手の育成と抜擢に定評のある伊東監督の意思をフロントは尊重したほうがいい。

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