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“無風”に見えるGKすら悩む…W杯26人予想決定版。9月未招集の板倉滉・大迫勇也・浅野拓磨は選出、迷った“上田&古橋選外”の理由は?
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/10/31 17:09
カタールW杯、日本代表発表まであとわずか。26人に選ばれるのは誰か
柴崎に関しては、落選の可能性も考えた。インサイドハーフを務めた21年11月のオマーン戦では前半でベンチに下がり、アンカーを任された22年3月のベトナム戦、2ボランチの一角を務めたエクアドル戦でも好パフォーマンスを披露できたわけではない。
鎌田もフランクフルトではボランチでプレーしているし、板倉も高いレベルでボランチをこなすことができる。柴崎を外すことで、相馬勇紀や旗手怜央を選出する余地も生まれる。
ただ、代表チームというのは、メンバーの年齢バランス、経験値、ピッチ外での振る舞いなど、パフォーマンスだけでは測れない化学反応が起こる。柴崎は21年10月のオーストラリア戦から控えに回ったが、「自分が出ても出なくても、勝利することが一番大事」という思いでチームを支えた。そうした人間性を含め、森保監督も信頼を置いているのだろう。
セルティックで好調の旗手を推す声も分かるが…
セルティックでの活躍を見る限り、旗手を推す声があるのも分かる。クラブチームで好調な選手の勢いを利用するのはW杯のメンバー選考におけるセオリーのひとつでもある。
一方で、クラブチームで活躍しているからといって代表チームでも活躍できるとは限らないという側面もある。
スタメンのチャンスを与えられた22年3月のベトナム戦でハーフタイムにベンチに下げられたこと、6月シリーズでは選考外だったこと、9月シリーズで出場機会を得られなかったこと、代表キャップが1しかないことを考えると、選出の可能性は低いのではないだろうか。
FW:前田のスピード、そして大迫と浅野
最後にFWだ。ここの人選も大いに悩んだ。おそらくドイツ戦、スペイン戦は前田大然が先発起用されるだろう。アメリカ戦で見せた2度追い、3度追いも辞さない“鬼プレス”は、12年ロンドン五輪での永井謙佑を彷彿とさせた。トップ下に入る鎌田の守備の負担を軽減し、裏を狙うことで相手ディフェンスラインを押し下げ、鎌田のプレースペースを広げる役割も期待できる。
続いて、ワイルドカードの2枚目、3枚目として大迫勇也と浅野拓磨を選んだ。
大迫は負傷やコンディション不良のために今年2月のサウジアラビア戦を最後に日本代表から遠ざかっているが、さすがはベテラン。W杯が近づくにつれコンディションを上げ、直近の公式戦5試合で3ゴールをマークするなど、所属するヴィッセル神戸の5連勝に大きく貢献した。
コスタリカとの第2戦ではメンバーを入れ替える可能性が高く、その試合でトップ下を務めることが予想される南野との相性も良い。ドイツ戦、スペイン戦においてもゲーム途中に三笘を投入した際、左右からのクロスのターゲットになり得ること、セットプレーでの得点源として期待できることから、大迫の選出を予想した。
また、中盤2列目も含めた攻撃陣でW杯経験者は大迫しかいないことも選出の大きな理由だ。