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「まさか娘がフジテレビに…」永島昭浩が語る安藤優子に鍛えられたキャスター時代とW杯親子共演「コネ? 僕にはそんな力はない(笑)」
posted2022/10/31 11:04
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Akihiro Nagashima
「ミスター神戸」から「はに噛む王子」へ――。
永島昭浩のニックネームは引退して数年で、大きく変わった。
「残り3秒とかで突然振られるんですから。そりゃ焦るし、誰だって噛むでしょ」
「はに噛む王子」はこちらに同意を求めるようにして、笑った。
2000年シーズン限りで現役を退いた永島は第二の人生で指導者になることを考えていた。解説者の仕事を始めたのも、現場を離れて外からサッカーを学ぶためだった。
だが、端正な顔立ちと関西人特有のユーモラスな一面が好評を得て、キャスターの仕事が舞い込んだ。
最初はフジテレビの深夜のスポーツ番組『すぽると!』のコメンテーターを務めたが、そこで評価を得ると、夕方の報道番組である『FNNスーパーニュース』のスポーツキャスターに抜擢される。メインキャスターは安藤優子と木村太郎だった。
「僕の中では、3〜4年のつもりやったんですよ。それが16年もお世話になるなんて。人生は分からないですよ(苦笑)」
転機は日韓W杯、安藤優子のキラーパス
キャスターとしての転機は02年にやってきた。日韓ワールドカップを控え、2時間のニュース番組の中で、なんと1時間半のサッカー特集が組まれたのだ。
「ちょうどグループステージの対戦相手も決まった時期で、トルシエジャパンはどう戦うべきかを解説していたら、安藤さんから『今の、分からない』って何度も言われたんです。素人には難しいと」
永島にとっては深く考えさせられる出来事となった。
「深夜の『すぽると!』を見ている視聴者はサッカーに詳しかったり、スポーツ好きだったりする。でも、夕方のニュース番組の場合、主婦の方が料理をしながら見ていたりする。そういう方にも分かるように説明しないといけないんだと。
あと、安藤さんが同じような質問を30分後にもされるものだから、『大丈夫なんかな』と思っていたんですけど(苦笑)、これも全国版と関東版では放送の枠が違うから、そこから番組が始まる地域もあるんだと。ただ、同じ答え方をしたら2度目の人もいるわけだから、言い方や角度を変えてみたり。非常に勉強になりました」