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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
ドイツもスペインもコスタリカも日本のスタメンを読めない? 森保監督の「先発11人入れ替え」W杯想定だけではない“大きな意味”とは
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/09/28 17:02
アメリカ戦からスタメン11人を一気に入れ替え。エクアドル戦はW杯への興味深い戦略テストとなった
「日本にはいい選手がたくさんいるので、就任当初から多くの選手を代表に招集させてもらいながら、日本代表全体の選手層を厚くする、カタールW杯のときにより強く、より高い頂点に行けるチーム作りをするということを考えてやってきたので、最後まで貫きたい」
エクアドル戦でのターンオーバーで、W杯のシミュレーションと同じくらい大きな意味を持つのではないかと思われるのが、選手のモチベーションへの影響である。
今回のドイツ遠征を含めてラスト3試合とはいえ、最後のテストマッチである11月17日のカナダ戦まであと1カ月半、W杯本番まで2カ月弱ある。
もしアメリカ戦、エクアドル戦でレギュラーとサブがくっきりと分かれるような選手起用をしていたら、その間にサブ組と目される選手たちのモチベーションが下がりかねない。
だが、今回エクアドル戦のスタメンに回った選手が気落ちするようなことは一切ないはずだ。ドイツ戦のピッチに立つ可能性は十分あるし、少なくともコスタリカ戦では起用される可能性が高いのだ。
長友とシュミットは手応え、三笘と田中碧は…
左サイドバックとして先発した長友佑都は「僕自身は相手が強くなればなるほど、自分の価値を示せると確信している。今日も課題はあるけれど、負けないなと感じました」と胸を張り、GKのシュミットも「引き分けだったので満足とは言えないですけど、今まで代表でプレーしてきた中で間違いなく一番いいパフォーマンスだったと思う」と手応えを滲ませた。
一方で、左サイドハーフの三笘薫は「スタメンで起用され、結果を出せなかったことは悔しいですけど、それが実力」と反省しきりで、田中碧は「強度が高い中でどれだけやれるかは、代表でも、自分のこれからのキャリアでも大きな課題だと思う」と自身と向き合った。
しかし、彼らの誰もが、W杯メンバーの当落はもちろん、レギュラーかサブかと気に病むこともなく、W杯では必ず出番が来るという心構えで、所属クラブでのプレーに集中できるのではないか。
これで困るのは、W杯での対戦相手だろう。ドイツも、コスタリカも、スペインも、きっと日本のスタメンが読めなくなったに違いない。
W杯のメンバー発表前、最後の試合が終わった。
メンバー発表は11月頭に予定されている。おそらく今回招集された30人から26人が選出されることになりそうだ。例外があるとするなら、ラストピースとしてコンディション不良から復調しつつある大迫勇也の復帰があるかもしれない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。