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驚きのブンデス首位クラブで充実… 原口元気「11人が1つの生き物のように」“W杯のために全力スプリント”を再び磨く意図とは
posted2022/09/27 11:15
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Lars Baron/Getty Images
「ウニオン・ベルリンはドイツ版『レスター』だ!」
先日も、老舗スポーツ誌『キッカー』にそんな見出しが躍った。
ウニオンが2015-16シーズンにプレミアリーグで奇跡の優勝を成しとげた、あのレスターにたとえられるのには理由がある。資金的には恵まれていないクラブの躍進が好意的に見られているだけではなく、彼らが優勝しても不思議ではないほどのサッカーを見せているから。
何より、リーグ戦7試合を終えた現在、ドルトムントと勝ち点2、バイエルン・ミュンヘンとは勝ち点5もの差をつけて、単独首位に立っているのだ。
戦術って大切だなぁと、感じさせてもらっている
そんなチームでプレーする原口元気は、このチームに加入して、驚いたことがあった。
紅白戦をやる機会がほとんどないのだ。
サッカーの練習メニューで紅白戦はあたりまえに存在しているものに感じられる。ウニオンで紅白戦が行なわれない理由はシンプルだった。
戦術練習の時間を長く取るためだ。
資金力に恵まれないチームが躍進する大きな要因は、スイス人のウルス・フィッシャー監督が自分たちと相手の特徴を踏まえたうえで、戦術練習を入念に行なってきたことにある。原口は、プロになってから暫定監督を除いて、クラブと代表でのべ16人の監督の指揮をうけてきた。その中でもっとも戦術練習の精度が高い指導者として、迷うことなく現在のフィッシャー監督の名前を挙げる。
「戦術って大切だなぁと、ウルス(*フィッシャー監督)には感じさせてもらっている。すごく勉強になっているから。きちんとした戦術を準備してくれて、ミーティングも細かくやる。なおかつ、選手にわかりやすく説明することで、戦術を落とし込む監督だね。それが彼の強みでもある。
そういう強みのある監督がいるから、どの選手が試合にパッと送り出されても、どう動けば良いのかを理解している。それが結果につながっているのかな」
やることやルールが明確だから、迷いがない
確かに、ウニオンの戦いぶりを見ていると、プレスのかけ方など基本原則はあるものの、試合によって微妙に変化している。
例えばウニオンは守備時に〈5-3-2〉で構えることが大半だ。相手が〈4-2-3-1〉で来た場合、相手サイドバックにボールが入ると、ウニオンのインサイドハーフの選手がプレスに行くケースが多い。
ただし、相手の中盤の動き次第ではインサイドハーフの選手ではなく、ウイングバックがプレスをかけにいく。その一方で、マンツーマンをベースに守備をするのは、ほとんどの試合で変わらない。