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強い明治大野球部で思い出す“伝説のカリスマ監督”「なんとかせい!」「1000球投げ込みは命令だ」「早稲田に負けると夜中2時から練習」
posted2022/06/08 11:04
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Sankei Shimbun
おーお、明治!!
今季から2戦先勝による勝ち点制に戻った東京六大学野球。6季ぶり41回目の優勝を飾ったのは、明治大学だった。
投手ではベストナインに選ばれた蒔田稔(3年・九州学院)が4勝、第2戦の先発を任されていた村田賢一(3年・春日部共栄)の2枚看板が15試合フル回転、打ってはショートの宗山塁(2年・広陵)が首位打者となり、将来がますます楽しみになってきた。
そう思ってしまうのも、近年、明治はプロ野球界に多くの人材を輩出してきたからでもある。昨年のドラフトで、ヤクルトが丸山和郁を指名し、これで明治からは12年連続でドラフト指名選手が誕生した。
明大野球部のホームページを見ると、現在活躍しているOBの名前がずらりと出てくる(選手だけでなく、コーチ、スタッフを含む)。
ヤクルト 4人
阪神 6人
広島 3人
中日 5人
DeNA 4人
オリックス 4人
ロッテ 5人
楽天 2人
日本ハム 1人
西武 2人
活躍が目立つOBを見てみると、広島ではローテーションの柱のひとりである森下暢仁(2020年卒)はカープの屋台骨を背負って立っているし、今季は上本崇司(2013年卒)が開幕からいい働きをしていた。
中日では今季打撃ランキング上位に顔を出す阿部寿樹(2012年卒)、投手では柳裕也(2017年卒)が昨季、最優秀防御率、最多奪三振の二冠を獲得している。そしてDeNAには2017年にドラフト9位指名で入団しながら、2020年にセ・リーグの首位打者に輝いた佐野恵太(2018年卒)がいる。
パ・リーグに目を移すと、昨季の日本シリーズでも活躍した福田周平と山崎福也は共に2015年卒業の同級生。
楽天の4番を務める島内宏明(2012年卒)は、卒業時はドラフト6位ながら昨季の打点王に。また、日本ハムで今季から本格的に二刀流に取り組み始めた上原健太(2016年卒)が、今後、どんな活躍を見せるかが楽しみだ。
「なんとかせい!」伝説の指導者
このように錚々たる顔ぶれが並んでいるが、「明治野球」といえば、私にとっては島岡吉郎を忘れるわけにはいかない。
島岡監督といえば1952年から1988年まで明大の指揮を執り、学生たちから「御大」と呼ばれ、尊敬され、愛された人物だ。