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「森保Jは“読みにくい”チームになった」中村憲剛が招集メンバーを分析 「4-3-3」と「五輪組」が対戦国の悩みのタネに?
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byJMPA
posted2021/11/06 17:03
ぶっつけ本番の「4-3-3」で勝利を手繰り寄せたオーストラリア戦。システムの選択肢が広がり、さらに新戦力を加えたことで、ベトナムやオマーンにとっては“日本対策”が難しくなった
個人的には前節の流れを踏まえて、そのまま4-3-3を採用するのもありかなと思います。
ベトナム戦までの準備期間が短いこともありますし、10月のオーストラリア戦にいい勝ち方をして、一体感を含めてチームがいい雰囲気に包まれているなかで、継続性を重視したシステムとメンバーで臨んでもいいのかなと思うのです。
同じシステムにすることで、オーストラリア戦に出場した選手たちは4-3-3で得た手応えをベースにして、相手が講じてきた対策を上回れるように、コミュニケーションを取りながらシチュエーションに即した対応ができると思います。そういうところからも、少なくともスタートはオーストラリア戦をベースにしたシステムと選手選考でいいと考えます。
試合そのものは、決して簡単ではありません。9月、10月は初戦を落としています。選手たちは日本とヨーロッパから現地入りし、長距離移動や時差もあります。気候も日本やヨーロッパとは違う。試合に向けた準備期間も初戦はどうしても短いので、フィジカルとメンタル、戦術的な調整が重要になってくるでしょう。
コンディションが気になる大迫の代役は?
今回は28人の選手でチームが編成されていて、東京五輪世代が10人を数えます。1チーム2カテゴリーで強化をしてきたメリットが、いよいよ形として表れてきたと感じます。最終予選を通して世代交代を進めていくと予想していましたが、少しずつその流れになってきている気がします。
FWにはケガから復帰したばかりの大迫勇也が選ばれましたが、森保監督はコンディションを見極めたうえで起用法を考えるでしょう。ベトナム戦では無理をさせず、オマーン戦に照準を合わせるかもしれません。
その一方で、大迫は試合に出る、出ないにかかわらずいまのチームの雰囲気を作っている選手のひとりだと思います。経験値が高く、最終予選の難しさも体感しており、若い選手に与える影響も大きい。吉田麻也の不在時には、キャプテンマークを巻くこともある。コンディションはもちろん大切ですが、チームの中心軸として欠かせない選手との判断から、森保監督は招集に踏み切ったのでしょう。
ベトナムの選手との相性を考えると、上田や前田のように瞬間的なスピードがあってフィジカルの強いタイプが効果的では、と思います。ただ、最終予選に一度も出場していない彼らを、いきなりスタメンで使うのは簡単な決断ではないでしょう。上田、前田、三笘らは途中出場でも生きるタイプなので、大迫を温存するなら古橋亨梧を先発させるのが判断として妥当でしょうか。彼は所属チームで好調を維持していますし、9月、10月と起用されています。