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《五輪兼任とA代表専任監督どっちが最善か》問題…森保ジャパンと韓国代表の東京五輪→10月シリーズまでを比較してみた

posted2021/10/31 11:00

 
《五輪兼任とA代表専任監督どっちが最善か》問題…森保ジャパンと韓国代表の東京五輪→10月シリーズまでを比較してみた <Number Web> photograph by Takuya Kaneko/JMPA

10月シリーズを1勝1敗でW杯ストレートインに望みをつないだ状況の森保ジャパン。韓国代表はどうなっている?

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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Takuya Kaneko/JMPA

 日本代表の11月シリーズが近づいている。

 1勝1敗に終わった10月のW杯予選では、キャプテンの吉田麻也が強い言葉を残した。

「結果が出なければもちろん、協会、監督、選手も責任を取る覚悟はできている」

 11月も、この“責任”が見どころだろうか。

 次も結果が伴わなかった際の森保一監督の監督の座? ミスを犯したり、期待に背いたりした選手のポジション? 

 日韓サッカー比較を20年来やってきた筆者に言わせると違う。

「そもそも五輪代表との兼任監督体制を敷いた協会の判断は正しかったのか?」

 日本とオーソドックスな「分業体制」の韓国を比較していくと、どちらが“優勢”か。これがまさに1戦ごとに揺れ動いているのだ。ダイナミックに。11月シリーズの見どころの1つだ。

W杯連続出場が途絶えることを恐れる両国

 忘れてはならない。「兼任監督体制」とはとても重大な決断だった。

 カタールW杯までの4年間、日韓両国ともに同じ目標に向かって戦い、近い悩みを抱えながら、違う方法を選択している。

 目標とは何かと言うと「W杯本大会出場」。もちろんだ。

 しかしこれを意地悪く言うと「W杯連続出場が途絶えることを恐れている」。違うだろうか。

 より噛み砕くと「4年に一度、サッカーを広く一般層に訴求する機会を失うこと」。

 双方ともに“いい時代”が長く続いている。現時点で韓国は35年、日本は23年もの間「連続出場記録が続いている時」を過ごしている。まさにひと時代。日本だと、大卒1年目の若者は「自国代表がW杯に出場できない時代」を知らない。

 韓国では仮に「自国のW杯本戦出場がなくなる」状況をどう捉えているのか。スポータル・コリアのキム・ソンジン記者は言う。

「一度も経験していないことなので、どういうことが起きるか分かりません。しかしスポーツ産業、特にサッカー関連の産業がかなり縮小するものと想像できます。大韓サッカー協会のスポンサー解約、赤字化。これによりユース世代のリーグなどに対する投資の減少、各世代の代表チーム運営などが今の水準を保てないでしょう。すぐに選手のプレーレベルが下がることはないが、お金の部分ではかなり悪い状況に置かれると思います」

「行きたい」と「失うのが怖い」の思いは表裏一体。慎重なリスク管理のなかで、チャレンジの方法を探るべき状況にある。当然のごとく「保守」「消極的選択」だけでは発展がないからだ。

 この4年間、日本は「兼任体制」をチャレンジとして選んだ。2018年W杯後、田嶋幸三会長は「どの国籍かは関係なく、今の日本代表に必要な人材」という理由から、東京五輪代表監督だった森保にA代表も任せる決断をした。

 一方で韓国は「外国人監督」という選択を行った。2008年以降、現在のパウロ・ベント監督(ポルトガル)就任前まで6人の指揮官がその座に就いたが、うち5人は韓国人。10年、14年、18年の本大会はすべて韓国人監督体制で戦った。そこで「外国人の新しい視点に任せる」というチャレンジをしたのだ。

【次ページ】 分業体制の弊害「ベントはもうクビだ」

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