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「W杯優勝」冷静な主将・遠藤航“あえて明言のワケ”と熱い男・長友佑都が戒める“ブラジルの過信”…優勝に必要なチームの「完成度」とは?
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佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/23 17:28

冷静沈着なタイプの遠藤航が「W杯優勝」を目標として口にしたことには少なからぬ驚きがあった。その真意とは?
目標「優勝」の根拠とは
遠藤が主将として「W杯優勝」と言い切るのは、カタールW杯以降のチームの成長と完成度に深い自信を得ているからだろう。最も大きいのは、個々の選手のレベルアップだ。いまやメンバーのほとんどが海外組で、各クラブでも主力としてプレーしている選手が多い。
2018年ロシアW杯の頃は、海外組ではあってもクラブで試合に出られるかどうかの争いをしている選手が多かった。代表に招集されてもコンディションにばらつきがあり、チームとして戦うのが難しいこともあった。
だが今は、そんな心配は皆無に等しい。たとえば遠藤自身も現状リバプールでのプレー時間は少ないが、他の選手がその状況であれば、代わりに戦える選手がいる。“代えの利かない選手”に頼る部分は確実に減っている。そうした質の高い、分厚い選手層はチーム力を支える根本になる。
遠藤の言葉に過信は感じられないが…
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遠藤自身は、カタールW杯以降のチーム作りをどうとらえているのか。自らが思い描いたように進んでいるといえるのだろうか。
「ここまでベストとは言わないですけど、今はそれでもいいと思っています。サッカーのやり方がどんどん変わっていく中で、自分たちもアップデートしていかないといけないので、今こういうサッカーをやっていくというのを決め過ぎてもよくない。
もちろん、自分たちのスタイルって何なの? って考えたりしますけど、大事なことは、攻撃的にいくのか、守備的にいくのか、また、システムが変わる中、ポジションをどう変えるのかといったところに、自分たちからアクションを起こしていくことだと思うんです。あとは相手のやり方に対してどうリアクションするのか。そういう最終的な決定を、自分たちでやっていく。それを積み上げていくことが今は大事かなと思います」
遠藤の言葉は、謙虚でポジティブで、過信など微塵も感じられない。
だが、長友が注意喚起した「過信や慢心」は、普段はステルスのようになかなか見えず、W杯の本番での試合でいきなり表面化する。ドイツW杯しかり、ブラジルW杯しかりだ。
これから1年後、W杯優勝という大きな目標に、彼らはどのくらいのリアリティをもって戦うことができるだろうか。歴史を紐解けば、教訓と経験を活かした時の日本代表は、結果を残してきているが、果たして……。
