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野球のぼせもんBACK NUMBER
「ソフトバンクの様子がおかしい…」じつは2月にあった“王者の異変”…甲斐拓也の移籍でも、近藤健介の離脱でもない“ある原因”「MLB流の落とし穴」
posted2025/04/07 17:01

“4272日ぶり最下位”に沈んだソフトバンク。現地記者が見た王者の異変とは
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
今年のソフトバンクが開幕から苦しんでいる最大の理由は何か。
近藤健介や栗原陵矢、カーター・スチュワートJr.の離脱、そして正捕手だった甲斐拓也の巨人移籍――しかし、そうした戦力的な要因よりも気になっていたことがある。
ペナントレース開幕よりずっと前の2月から、ソフトバンクに異変が生じていた。キャンプ、オープン戦とすべて取材をしてきて、どこか締まりのない空気を感じていたのだ。
メジャー流調整の“落とし穴”
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今年、ソフトバンクは新たな取り組みとして春季キャンプで「S組」を導入した。
S組は、2月1日のキャンプイン時の宮崎入りが免除され、中盤の第4クールスタートの2月15日にチーム合流すればいいとされた。投手陣では有原航平、松本裕樹、ロベルト・オスナ、リバン・モイネロ、ダーウィンゾン・ヘルナンデス。野手陣では近藤、柳田悠岐、山川穂高、中村晃、今宮健太、周東佑京の計11選手がS組でキャンプに臨んだ。
S組設置の意図について小久保監督は「自分でやれる選手たち。そして、我々とすれば、主力組が合流するまでは若手選手をじっくり見ることができる」とメリットについて語っていた。
そのS組だった有原や山川、ヘルナンデスらがペナントレース開幕から不振なのが、チームの苦戦につながっているのは否めないところだが、逆に柳田や周東、モイネロあたりは期待通りの活躍をしている。キャンプ中に故障してしまった今宮も開幕には間に合って攻守に貢献できている。だから、S組設置そのものを疑問視しているわけではない。
ただ、ずっと気になっていたのはS組選手たちのチーム合流後の動きだ。
第4クールといえば、チーム本隊は実戦モードに移行する頃。現に2月15日はA組がキャンプ最初の紅白戦を行っていた。それを含めて3月2日までのキャンプ期間では紅白戦2試合とオープン戦も含めた対外試合6試合が行われたが、S組では有原が2月27日の練習試合に1イニング投げた以外は出場が免除され、試合に入ったのは3月4日の地元福岡に戻ってのオープン戦からだった。オープン戦でも野手の場合は多くが2~3打席で交代するケースが多かった。