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「W杯優勝」冷静な主将・遠藤航“あえて明言のワケ”と熱い男・長友佑都が戒める“ブラジルの過信”…優勝に必要なチームの「完成度」とは? 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/03/23 17:28

「W杯優勝」冷静な主将・遠藤航“あえて明言のワケ”と熱い男・長友佑都が戒める“ブラジルの過信”…優勝に必要なチームの「完成度」とは?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

冷静沈着なタイプの遠藤航が「W杯優勝」を目標として口にしたことには少なからぬ驚きがあった。その真意とは?

「最終予選をいい形で突破して、ここで過信というか、慢心すると崩れてしまうというのをブラジルW杯の時に経験しているんで、そうなるとけっこう危ない。自分たちのことを強いと思うのはいいんですけど、日々の鍛錬や、愚直な自分の仕事ができないということになると足元をすくわれてしまう。そうならないように自分自身もそうだし、みんなもディテールにこだわってやらないといけないと思います」

ブラジルで経験した「過信」

 2013年、ブラジルW杯の出場を決めたアジア最終予選は、5勝1敗2分けで1位通過した。長谷部誠、遠藤保仁、本田圭佑、香川真司、大迫勇也ら最強とも言えるメンバーで「W杯優勝」をうたい、「自分たちのサッカー」を掲げ、ブラジルに乗り込んだ。だが、結果は1試合も勝てず、グループリーグ敗退に終わった。

 テストマッチでの結果や内容から「俺たちは強い」と思い込み、それが過信になり、W杯で本物の世界と対峙した時には、もう手遅れだった。その怖さを経験しているだけに、来年のW杯で同じ轍を踏まないように最年長として自らチームを律していく覚悟だ。

主将・遠藤が明言した目標とは

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 長友に無茶ぶりで最後の挨拶を頼んだ遠藤も、表情は明るかった。

 カタールW杯ベスト16という結果を受け、アジアカップでは敗れたものの(ベスト8)、最終予選は圧倒的な強さを見せて突破し、主将としてひとつ大きな責務を果たした。

「W杯出場を決めたことは、素直に良かったです。最終予選の突破は当たり前、と思ってくれるファンの方が多いと思いますけど、それを実際に実現し続けていくのは、そんなに簡単じゃない。でも、ファンの皆さんがそう思っていることに対して、自分たちも結果を合わせていくべきだと思っているので、その期待を裏切らないようにしていきたいです。

 僕らはW杯に出ることだけが目標ではなく、W杯で何が残せるかという段階に来ている。そこは改めて期待していただければいいかなと思います」

 その「何」について、遠藤から明確な目標を聞くことができた。セレモニーでのスピーチで、はっきりと「W杯優勝」を言葉に出したのだ。

【次ページ】 冷静な遠藤が優勝を口にしたという驚き

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