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「W杯優勝」冷静な主将・遠藤航“あえて明言のワケ”と熱い男・長友佑都が戒める“ブラジルの過信”…優勝に必要なチームの「完成度」とは?
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佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/03/23 17:28

冷静沈着なタイプの遠藤航が「W杯優勝」を目標として口にしたことには少なからぬ驚きがあった。その真意とは?
「W杯優勝は……W杯出場を決めた節目の試合で、自分たちは今、何を目指しているのか。それを選手だけではなく、ファンのみなさんとも共有したいなと思ったので、改めて僕の口から伝えさせてもらいました」
冷静な遠藤が優勝を口にしたという驚き
チームの主将が、カタールW杯後に選手たちが自ら口にしていた「ベスト8」ではなく、「優勝」という高い目標を掲げたことには、少なからず驚きがあった。
遠藤はビッグマウスではなく、冷静に物事を見て、判断できるタイプ。リバプールという最強クラスのビッグクラブに在籍しており、世界との距離感や世界の本当の強さも、他のメンバー以上に実感しているはずだ。その遠藤に、W杯優勝がどれほど困難なことか分からないはずはない。
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驚いたのは、われわれが過去に似たような光景を目にしているからでもある。ブラジルW杯前、本田圭佑ら主力は「W杯優勝」を宣言した。その目標はファンからはおおむね好意的にとらえられていたものの、チーム全体には浸透せず、一部の主力選手だけの思いになってしまっていた。結果的に、その目標を巡っての温度差が戦い方にも影響し、W杯本大会での惨敗を招いた一つの要因になったように見えた。
最高16強のチームが優勝できるのか?
ベスト16を超えたことがないチームに、果たして優勝が可能なのか。ブラジルの記憶を忘れられないわれわれからすれば、現実的にはベスト8を確実に仕留めるという方が目標として妥当に思えるが……。
「(W杯優勝を疑問視する声に対して)そこはもう何も言わなくていいと思いますし、結果を残すしかないと思っています。W杯優勝は、僕ら日本代表の選手と日本代表を応援してくれるファンのみんなが共通意識として持っていればいいこと。そのW杯で自分たちが何ができるのかということにフォーカスしてやっていけばいいと思います」