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中村憲剛の視点「日本にイランほどの執念はあったのか」 “機能しなかった監督采配”への見解も「板倉滉を下げるべきか…難しい判断だった」 

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2024/02/07 11:02

中村憲剛の視点「日本にイランほどの執念はあったのか」 “機能しなかった監督采配”への見解も「板倉滉を下げるべきか…難しい判断だった」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

イラン戦で試合終了間際にPKを与えてしまった板倉滉。コンディションに問題を抱えていたのか、いつになく不安定なプレーぶりだった

 イランに許した1点目は、日本のビルドアップに対して相手の前線の選手が連続でプレスにいき、中盤と最終ラインも連動することでGK鈴木が蹴り出し、そのボールをカットされたことに始まります。アズムンのラストパスも、モハマド・モヘビのフィニッシュもクオリティが高かったのですが、相手の狙いにハマっていたことがそもそもの原因でした。

三笘薫と南野拓実を投入も流れは変わらず…

 1対1に追いつかれたことで、森保監督は三笘薫と南野拓実を投入しました。

 バーレーン戦では1点差に追いつかれた場面でこの2人を起用し、試合の流れを変えることができました。同点にされて嫌な雰囲気が流れていることを感じ、ここからもう一度攻撃を加速させるための2枚替えだったと思います。

 しかし、イラン攻勢の流れはなかなか変わりません。イランはロングボールとサイドアタックを織り交ぜた攻撃を、執拗なまでに続けてきました。ロングボールを跳ね返すことができても相手と競り合いながらなので、大きく弾き出せません。三笘も南野も自陣に引きずり込まれるような形となり、守備に追われていきました。

 イラン戦は大会5試合目でした。そのすべてがデーゲームで、連戦による疲労はあったでしょう。それに加えて、強度の高いぶつかり合いと競り合いでダメージを受け、ロングボールやロングスローを執拗に入れられることがジャブのように効いていき、選手たちは心身ともに疲弊していったと考えることができます。イランの土俵から抜け出せなくなってしまいました。

 バーレーン戦では、3対1とリードしている時間帯に3バックへ変更し、守備の局面では5バックで対応することで試合を終わらせました。

 イランのロングボールに対して、CBを増やして対応しても良かったのでは、という意見があるかもしれません。3-4-2-1で1トップ2シャドーにして、システム上のミスマッチを生み出して相手を困らせるというのは、僕も試合を観ながら考えていました。

「CBの投入」「板倉滉の交代」が難しかった理由

 そこで気になったのは、試合展開と選手心理です。

 1対1の同点のなかで前線の枚数を減らし、CBをひとり増やす交代をしたら、ピッチで戦う選手たちは「1対1なのに守備を固めるのか」と受け止めるかもしれません。

【次ページ】 日本はイランほどの執念をもって戦っていたのか

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