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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
遠藤航の代役不在、“世界基準”ゆえの縛り…中村憲剛が切り込む“森保ジャパンの敗因”「アジアの戦いは難しい、で終わらせてはいけない」
posted2024/02/07 11:03
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
元日本代表MFの中村憲剛氏に、日本代表のアジアカップを総括してもらう。準々決勝のイラン戦を掘り下げた前編に続いて、後編では大会を通して見えてきた課題を語る。
指導者としての学びを深めている中村氏は、「アジアの戦いが難しいのは分かっていますが、それだけで今回の敗戦を片づけてはいけない」と言う。(全2回の2回目/前編へ)
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“日本包囲網”のレベルは格段に上がっている
今回のアジアカップに出場した24カ国のなかで、自国の監督とともに戦ったのは日本を準々決勝で破ったイラン、ベスト8で韓国にPKで屈したオーストラリア、それに日本の3カ国だけでした。ほぼすべての国が外国人監督に、それもヨーロッパ出身の監督に、率いられていました。
グループステージで日本を破ったイラクは、スペイン人のヘスス・カサス監督が采配を振っていました。ラウンド16で対戦したバーレーンの監督は、アルゼンチン生まれでスペイン代表としてプレーしたファン・アントニオ・ピッツィです。どのチームも外国人スタッフを揃えて、分析・解析の確度を高めています。
2000年代の前半あたりまでは、日本への対策は大雑把なものでした。個人の技術を発揮させないためにガツガツとファウル覚悟で当たってくるとか、ベタ引きでゴール前を固めるといったものでした。それがいまはもう、戦術的、論理的に整備されています。
各国の監督とコーチングスタッフは、分析に基づいて選手たちに対策を提示し、戦術に落とし込む。選手たちはそれを実践できる。日本に対する包囲網は以前からありますが、そのレベルは格段に上がっています。
そうやって日本対策をしてきたうえで、自分たちが優位と考えられるところはしっかり生かす。二段構えで準備をしてくるのです。簡単な戦いになるはずがありません。
遠藤航の負担を軽減できる選手はいたのか
また、日本と対戦する相手は、どの国も先のことを考えていないように見えました。とにかく日本戦に照準を合わせて、一戦必勝のメンタリティでぶつかってきました。