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中村憲剛の視点「日本にイランほどの執念はあったのか」 “機能しなかった監督采配”への見解も「板倉滉を下げるべきか…難しい判断だった」

posted2024/02/07 11:02

 
中村憲剛の視点「日本にイランほどの執念はあったのか」 “機能しなかった監督采配”への見解も「板倉滉を下げるべきか…難しい判断だった」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

イラン戦で試合終了間際にPKを与えてしまった板倉滉。コンディションに問題を抱えていたのか、いつになく不安定なプレーぶりだった

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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Kiichi Matsumoto

 史上最強とも言われたチームが、ベスト8で散った。

 アジアカップに出場している日本代表が、イランとの準々決勝で敗れた。苦難のグループステージを経て本来の姿を取り戻しつつあったが、アジア王者への返り咲きはならなかった。

 日本代表としてアジアカップやワールドカップに出場した中村憲剛氏が、イラン戦を振り返りつつ今大会を総括する。指導者として研鑽を積んでいる立場から、森保一監督の采配の裏側を掘り下げてもらった。(全2回の1回目/後編へ)

◆◆◆

狙い通りだった守田英正の先制点

 森保一監督は試合を重ねていくなかで、今大会を戦うチームの最適解を見つけていったと感じます。インドネシア戦からイラン戦まで3試合連続でスタメンに名を連ねた右サイドバックの毎熊晟矢は、その分かりやすい例と言うことができたでしょう。

 イラン戦はラウンド16のバーレーン戦から、中2日で行なわれました。左サイドバックを中山雄太から伊藤洋輝に、左ウイングを中村敬斗から前田大然に変更しました。さらには、バーレーン戦のケガでメンバー外となった旗手怜央に代わって、守田英正が先発に入りました。

 個人的には左サイドの入れ替えに着目しました。グループステージでは中村敬斗、南野拓実、伊東純也らが起用されてきましたが、ポイントは「幅」をいつどのタイミングで取るか、でした。

 その視点に照らすと、前田は幅を取りつつもタイミング良く中へ入っていく動きを見せていました。それに合わせる形で守田、久保建英、遠藤航が左サイドへ頻繁に顔を出すことで、球際を作りたいイラクの選手たちを困らせていました。

 自陣でビルドアップする際のポゼッションの局面では、伊藤が内側へ入って変則の3バックのようになり、彼と前田の間に守田が立って選手同士の距離感を整え、イラン陣内に侵入することが増えていきました。左サイドの攻撃に関しては、この形から設計図を描きやすかったと言うことができ、左サイドに開いた守田が上田綺世を使ってゴール前まで持ち込んだ先制点は、狙い通りと言っていいのでしょう。

前半、イランの構えは「中途半端」だったが…

 前半の日本がボールをある程度握ることができ、先制点を奪えたのは、イランの守り方にも理由がありました。中2日の影響もあったのか、前線から積極的にプレスをかけてくるわけでもなく、自陣にブロックを敷くわけでもなく、前線・中盤・守備陣の3ラインのコンパクトさが、これまでの対戦国よりも多少中途半端な印象を受けました。

【次ページ】 日本の4バックに4トップをぶつけてきたイラン

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