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三笘薫は「これが実力」、堂安律も厳しい表情で…森保ジャパンに“カタールからの積み上げ”はあったのか? 記者が見たリアルな現状
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/03/30 17:10
ブライトンでの好調そのままに、コロンビア戦で先制ゴールを決めた三笘薫。逆転負けという結果に「これが現実」と、あえて厳しいコメントを残した
「12人目以降のクオリティ」が大きなテーマに
今回は招集を見送られたカタールW杯代表の山根視来は、内側のレーンを有効に使うことができる。また、招集されたものの出場機会のなかった半田陸も、興味深い人材だ。このパリ五輪世代の21歳は、昨シーズンまで所属したJ2のモンテディオ山形で、ピーター・クラモフスキー監督の薫陶を受けて現代的な戦術を身につけた。
左サイドバックには、旗手怜央を使ってみたい。インサイドハーフに馴染んでいる彼なら、ポゼッション時の立ち位置に戸惑うことはないはずだ。高強度のバトルも問題ない。森保監督が指揮したU-24日本代表で、左サイドバックに入ったこともある。トライする価値はある。
今回の2試合では、右サイドバックの菅原、左サイドバックのバングーナガンデ佳史扶、CB瀬古歩夢がスタメンで起用された。菅原は20年10月以来2度目の出場で、佳史扶と瀬古は国際Aマッチデビューとなった。右サイドバックの橋岡大樹、左MFの中村敬斗も、短時間ながらピッチに立っている。
海外組を含むチームに初招集された西村は、ウルグアイ戦で途中出場から同点弾を突き刺し、コロンビア戦では先発を勝ち取った。カタールW杯で出場機会のなかった町野修斗も、コロンビア戦でスタメンに名を連ねた。
26年のW杯を見据えると、チーム全体の底上げが欠かせない。
カタールW杯の日本戦で、クロアチアのズラトコ・ダリッチ監督はルカ・モドリッチとマテオ・コバチッチを途中交代させた。1対1で推移する延長前半に、中盤の構成に欠かせないふたりをベンチに下げたのだ。それでもクオリティが落ちなかったクロアチアは、チームとしての総合力で日本を上回っていたと言える。
選手交代が最大5人となった現在は、交代選手のクオリティが問われる。12人目以降の選手のレベルアップは、次回のW杯で上位に進出するための条件と言っていい。
すでに戦力として計算している選手の、注目すべき起用もあった。鎌田大地のボランチ起用である。ウルグアイ戦にトップ下で出場した背番号15は、コロンビア戦で守田英正とダブルボランチを組んだ。
今回招集された26人で4-2-3-1を組むと、ボランチは遠藤航、守田、田中碧の3人だ。4-3-3にすると、彼ら3人のバックアップがいなくなってしまう。
そこで鎌田である。ボールを配球しながら持ち出すことができ、守備のバトルでも激しく戦える。さらに言えば、鎌田がポジションをひとつ下げることで、久保や西村らをトップ下で起用することもできる。南野拓実が招集に見合うパフォーマンスを取り戻したら、彼をトップ下に置くこともできる。2列目のタレントを有効活用するためにも、鎌田のボランチ起用はオプションとして持っておきたいものだ。