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173cmの長身も“脱モデル体型”で39年ぶり室内日本最高記録…女子走高跳・高橋渚(25歳)の大躍進 「スッと跳んできたい」有言実行の大台突破ウラ話

posted2025/02/16 11:02

 
173cmの長身も“脱モデル体型”で39年ぶり室内日本最高記録…女子走高跳・高橋渚(25歳)の大躍進 「スッと跳んできたい」有言実行の大台突破ウラ話<Number Web> photograph by センコー株式会社HPより

チェコで39年ぶりとなる1m92cmの室内日本最高記録をマークした女子走高跳の高橋渚(センコー)。右は醍醐奈緒美コーチ

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山崎ダイ

山崎ダイDai Yamazaki

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センコー株式会社HPより

「1m90cmが大台だという意識が問題で、それが難しいですね。海外で1m90cm台をバンバン跳ぶ人たちに混ざった大会で、スッと跳んできちゃいたいと思っています――」

 昨年8月。パリ五輪出場を「あとひとり」のところで逃した女子走高跳の日本王者は、炎天下のグラウンドで、そんな風に笑っていた。

 その言葉通りと言っていいだろう。偉業は欧州の舞台で「スッと」達成された。

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 2月8日にチェコで行われた室内競技会フストペチェ・ジャンプ。高橋渚(センコー)はインドアでの日本最高記録となる1m92cmを跳んで、2位に入った。実に39年ぶりとなる室内での日本最高記録とともに、日本人女子として実に12年ぶりの大台突破となった。

 昨年6月に新潟で行われた日本選手権で、高橋は3連覇を達成している。

 1m87cmの優勝記録は2位以下に9cmの差をつける圧勝劇だった。国内ではすでに第一人者の立場を確固たるものとしている。一方で獲得ポイントの関係で、日本選手権で「1m90cmを跳んで優勝」できればパリ五輪出場圏内となる世界ランキング32位以内まで上がれる計算だったため、結果的にランキング次点の形で五輪を逃す格好になった。

大きな目標は「2025年の東京世界陸上」

 落選が決まった直後のタイミングでも、高橋は意外にもさっぱりとしていた。

「もちろん悔しさはありますけど、やり切った感じはあったので。『ラッキーで行ける舞台じゃないな』というのは改めて感じました。もともと大きな目標は2025年の東京世界陸上。そこを目指す中で、気づいたら五輪も射程圏に入っていた……というのが正直な感覚でしたから」

 近年、日本の女子走高跳界は停滞期にあった。

 日本記録は20年以上前の2001年に今井美希が記録した1m96cm。女子陸上競技の主要種目では日本最古の記録となっている。そんな状況だっただけに、高橋としても何としてもいち早く1m90cm台に突入したいというのは悲願でもあった。

【次ページ】 高橋が持つ「再現性」の高さ

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