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三笘薫は「これが実力」、堂安律も厳しい表情で…森保ジャパンに“カタールからの積み上げ”はあったのか? 記者が見たリアルな現状
posted2023/03/30 17:10
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
どちらの試合も、簡単な相手ではなかった。
森保一監督率いる日本代表が、3月24日にウルグアイと、同28日にコロンビアと対戦した。カタールW杯後初のテストマッチであり、侍ジャパンのWBC優勝の余韻も漂っていただけに、すっきりとした勝利を求める空気はあっただろう。
カタールW杯の結果も、期待を高めることにつながっていたはずだ。日本は2大会連続のベスト16入りを果たし、8強入りにあと一歩まで迫った。それに対して、ウルグアイはグループステージで敗退している。韓国に総得点で2位を譲った。
コロンビアはカタールへ辿り着けなかった。南米予選で6位に終わっている。W杯にまつわる結果だけなら、日本優位に映る。
SBの立ち位置に変化…「戦術的なトライ」の成果は?
しかしFIFAランキングを見ると、違う力関係が浮かび上がる。ウルグアイは16位、コロンビアは17位で、日本は20位なのである。国際試合の積み重ねによるこのランキングこそが、彼我の力関係を正確に表わしていると言っていい。
日本と1対1で引き分けたウルグアイは、28日に韓国と対戦した。極東での2試合目は、2対1で勝利した。
日本を2対1で退けたコロンビアは、24日に韓国と対戦している。極東での1試合目は、2対2の引き分けだった。
日韓両国ともに1試合目は引き分け、2試合目は負けている。対戦相手のコンディションは、2試合目のほうがよかったと判断できる。今回の結果は、驚きではなかったのだ。
ただ、森保監督はカタールW杯からの続投だ。長友佑都や吉田麻也らベテラン勢が外れているものの、W杯のメンバーが半数以上を数える。ゼロからのスタートではなかっただけに、積み上げを感じさせるべき2試合でもあった。
果たして、ウルグアイ戦では戦術的なトライが見られた。サイドバックが攻撃時に内側のレーンを使おうとしたのだ。
カタールW杯でスペインとドイツを沈めた時限的なハイプレスとショートカウンターの組合せでなく、ボールを保持しながら相手を崩していく。そのための手段として、サイドバックがボランチのような立ち位置を取った。
ウルグアイ戦では左SBの伊藤洋輝がうまくボールを受ける場面があり、右SBの菅原由勢も思い切って内側のレーンに立った。だが、その立ち位置から彼らがチャンスメイクをすることはなかった。
左サイドについては、左CBにパスコースを提供するために、2列目の三笘薫が下がってくることがあった。アタッキングサードで突破力を発揮してもらう狙いから、かけ離れてしまっていた。