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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「うるせー、クソ指導者!」暴言を吐いた問題児が…「俺、先生になりたいんです」“まるで漫画の主人公”と話題を呼んだ“あの高校生”その後
posted2025/02/13 11:03

鳥取県勢として初めて春高バレーで勝利を挙げた鳥取中央育英高校。エース星原優来(3年)の活躍は大会を通してインパクトを残した
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuko Tanaka
「このまま辞めちゃったりしないよな」
新チーム発足からまもなく、主将・星原優来に謹慎処分が下ったことで、鳥取中央育英高校のバレーボール部には動揺が走っていた。
春になれば新入生が入学してくるというのに、キャプテンの姿はない。2年生オポジットの御古大馳は当時を思い出す。
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「優来さんの性格を考えたら、自分から謝るとか絶対に嫌だろうな、って。このまま練習に出られない状態が続いたら、いなくなっちゃうかもしれない。でも優来さんの存在は絶対だから、いないことなんて考えられない。(星原が辞めたら春高に出ることは)無理だろ、って思っていました」
やられたらやり返す――。コートの中では頼もしく映っていた星原の姿に、仲間たちは危うさも感じていた。
星原を変えた両親の言葉
事実、星原自身は謝ることを拒否していた。プレーもネット越しに繰り広げる言葉の応酬も、勝つためにやっているだけ。自分より大きい相手に負けたくないからこその行動だった。
大人がよってたかって文句を言ってくることにも腹が立っていた。「練習に来るな」と言うならそうしてやる。誰よりも期待を寄せていた桑名圭司監督の真意は、まだ伝わり切っていなかった。
へそを曲げる星原を変えたのは、謹慎を伝え聞いた両親の言葉だった。星原が回想する。
「納得がいかないと思っているのかもしれないけど、どんな感情があろうと暴言を吐いたあんたが悪い、と。『いちいちイライラして表に出していたら、この先もあんたの負け』と言われた時に、確かにそうだよな、と思った。自分が悪いと思ったので先生に謝りに行きました」