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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「意図的に勧誘しています」なぜ“常勝軍団”帝京大ラグビー部が“超進学校”出身者を狙うのか?…「以前は強豪校のキャプテンばかりでしたが…」
posted2025/02/12 11:04

2022年から帝京大ラグビー部の指揮を執る相馬朋和監督。常勝軍団のリクルーティングには以前とは違った信念があるという
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Kiichi Matsumoto
年始に行われたラグビー大学選手権は、帝京大の4連覇で幕を閉じた。
岩出雅之監督のもとで大学選手権9連覇を飾った時代、帝京大には高校ラグビー強豪校出身の選手や、有名校ではなくても高校時代から注目を集めた選手が多かった。だが近年、以前は出身校リストになかったような校名がチラチラと見つかるようになった。小倉、長崎北陽台、日川、横須賀……従来なら早大や慶大の出身校リストに並んでいたような、いわゆる名門進学校の名だ。
正確なゴールキックで優勝に貢献したCTB大町佳生は長崎北陽台出身の3年生、同じくCTBで対抗戦3試合に出場した久木野太一は小倉出身の4年生。ノンメンバーでもSH飯沼暖は山梨の名門・日川で主将を務めた逸材、スタッフでも学生レフリーの永田隆一郎は神奈川の横須賀だ。
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従来なら早大や慶大の出身リストに並んでいたような、いわゆる名門進学校の出身者は彼らだけではない。これは意図的に誘っているものなのか?
「そうです」と相馬朋和監督は即答した。
「多様性が大事ですから。地方の進学校で育った選手には、ラグビーの強豪校とは違った視点でラグビーやラグビー部を見ることができる選手がいますから」
「意見の相違があった方が組織は成長する」
同じような環境、同じような立場で育ってきた選手が集まると、ミーティングで議論を戦わせようとしても意見が単調になってしまうと相馬監督は言う。
「以前は、強いチームでキャプテンをやるようなタイプの選手を集めようとした時期もありました。もめ事が起きないようにと考えたのです。だけど、何も起きないと、成長しないんですね。致命傷になったら困るけれど、ある程度のもめ事というか、意見の相違があった方が組織は成長する」
スポーツには大なり小なり、競技の能力に基づいた「カースト」が存在する。
技術の高い、能力の高い者がより強い発言力を持ち、チームの運営も仕切る――それはある意味で当然かつ自然なことだが、イコール万能というわけではない。