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三笘薫は「これが実力」、堂安律も厳しい表情で…森保ジャパンに“カタールからの積み上げ”はあったのか? 記者が見たリアルな現状
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/03/30 17:10
ブライトンでの好調そのままに、コロンビア戦で先制ゴールを決めた三笘薫。逆転負けという結果に「これが現実」と、あえて厳しいコメントを残した
三笘薫に満足感はなし「いくら組織が頑張っても…」
コロンビア戦にも同じ狙いで挑んだ。前半早々に三笘のヘディングシュートで先制し、コロンビアが高い位置から圧力をかけてきたこともあり、ウルグアイ戦ほど内側のレーンを使わなかった。
コロンビア戦後の三笘は、周囲との連係で数的優位を作りながら、「前進できたところはあった」と話した。同時に、自身のプレーについては「もう少し高い位置で我慢していいところもありました」としている。
今回の2試合では4-2-3-1のシステムが採用され、コロンビア戦では右に伊東純也、左に三笘が入った。どちらも日本が持つスペシャルな「個」である。伊東は途中出場のウルグアイ戦で、西村拓真の同点弾をアシストした。コロンビア戦では、三笘がフィニッシャーとしてヘディングシュートを突き刺した。三笘にとっては納得の一撃である。
「プレミアリーグでもヘディングで決めていますし、そこに自信はあったので。ボール次第で決められるところにいられたので、ああいう形が増えればクロスが上がってくる回数が増えてくるでしょうし、ひとつアピールになったんじゃないかなと思います」
もっとも、2試合連続で勝利を逃しただけに、得点の喜びは封印している。表情に満足感はない。
「南米相手にこれが実力だと思いますし、(昨年9月に)エクアドルとやったときもそうですけど、押し込まれる時間が増えて我慢しきれない、蹴られたあとに回収されて押し込まれる形が増えている。バトルのところで徐々に相手の時間帯になっていく。そこは一人ひとりの能力も関係してくるので、いくら組織が頑張っても相手に収められると厳しいところはあるので、一人ひとりが能力を高めてバトルのところで勝っていかないといけないと思います」
準備期間の短いテストマッチでは、「個」の優劣が勝敗に深く関わってくる。カタールW杯でも突きつけられた課題で、攻撃でも守備でも「個」で解決できる選手がいるのかどうかが、そのチームの可能性に結びついてくる。
三笘がフィニッシャーとしての性格を強めれば、伊東の突破力がさらに生きる。三笘のドリブルを警戒してくる相手に、さらに大きなストレスをかけることもできる。彼らのような「個」を生かしつつ、ボールを保持しながら前進していく試みは、チームにとって必要なものだろう。それに見合った選手の招集も考えたい。