テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

大谷翔平「投手でも可能性が高いなら」“二刀流復活=積極走塁減少”は本当か「ベッツ、トラウトでもそうだ」大谷23歳時を知る三塁コーチの証言

posted2025/02/09 17:01

 
大谷翔平「投手でも可能性が高いなら」“二刀流復活=積極走塁減少”は本当か「ベッツ、トラウトでもそうだ」大谷23歳時を知る三塁コーチの証言<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

二刀流復活イヤーの2025年、「走る大谷翔平」の姿はどれだけ見られるのか

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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Nanae Suzuki

 新シーズンに向けて始動したドジャース大谷翔平。二刀流復活にあって昨季急成長を見せた「走塁」について、日本ハム時代から番記者を務める柳原直之氏が大谷本人の言葉などから、今季を展望する。〈NumberWebレポート/全2回の2回目〉

ドジャース三塁コーチ「オオタニに心配しなくていいと」

 メッツとのリーグ優勝決定シリーズ第5戦の初回、三塁走者の大谷翔平は無死二、三塁のチャンスで、テオスカー・ヘルナンデスが放った遊ゴロに対して、本塁突入を自重した。この試合後、デーブ・ロバーツ監督が苦言を呈し、翌日には三塁コーチのディノ・エベルと大谷の間でコミュニケーションを図ると話した。

 その談話を受けて、エベルコーチに取材したわけだが――。

「大谷を本塁へ行かせなければならなかったかもしれないと思ったが、彼と話して、彼がどう感じたかの説明を聞くと、納得がいった」

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 前夜のシチュエーションについて詳細に振り返りつつ、大谷とのやり取りをこう明かした。

「なぜなら、彼は本塁でアウトになると感じていたからだ。彼がそのように感じたら行かせない。遅れて行けば確実にアウトになる。だから私は〈それでいい〉と言った。ただ、明日も、来年も、8年後も深い守備位置の二遊間に打球が飛んで、三塁走者が本塁でアウトになったらドジャースの責任だ。だから私は彼に〈心配しなくていい。私の責任だから、いけ、いけ!〉と伝えた。それで彼は〈分かった〉と答えた」

 本塁突入を自重して1死二、三塁を維持した大谷の判断は決して間違っていなかった。ただ、メジャーリーグのセオリーでは、1死一、三塁になるリスクを犯してでも、本塁突入を選択するともいう。

この件だけでない…走塁での驚きの出来事

 果たしてこれはドジャース内での決まり事なのか、それともメジャーリーグ全体でのセオリーなのか。後日、私はこのことを再確認するために、1人で練習前のエベルコーチに質問を投げかけた。すると、エベルコーチは改めて言い切った。

「これは翔平だけでなく、みんな同じだ。それでアウトになっても構わない。遊撃か二塁に打球が飛び、ホームでアウトになったとしてもそれは構わない。翔平、ムーキー(・ベッツ)、(エンゼルスのマイク・)トラウト、誰でもそうだ」

 エベルコーチは06年から18年までエンゼルスのコーチを務め、トラウトやメジャー1年目の大谷(開幕時は23歳)を指導している。三塁コーチを務めた時期も長かった。あえてトラウトの名前を出して、私に分かりやすく説明してくれたのだろう。

 この一件だけではない。

 取材を続けていく中で、どうしても打撃と投球の二刀流に注目が集まりがちだが――大谷の走塁は度々スポットライトを浴びてきた。

【次ページ】 “ロバーツ監督が苦言騒動”以外にも走塁で…

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