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PK終戦の瞬間、堂安律は何を思ったのか? エースになりきれなかった男が口にした“無力さ”「先輩たちと1試合でも多くやりたかった…」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byTsutomu Takasu

posted2022/12/06 20:00

PK終戦の瞬間、堂安律は何を思ったのか? エースになりきれなかった男が口にした“無力さ”「先輩たちと1試合でも多くやりたかった…」<Number Web> photograph by Tsutomu Takasu

敗戦後の堂安。その目には光るものがあった。途中交代でピッチ外からPK戦を見守った堂安はその瞬間をどう迎えたのか

 このチームがなかなかセットプレーで得点を奪えないことは酷評されていたが、どうやら入念に練習をしていたようだ。前半43分、日本の右サイドからCKの場面、堂安から鎌田大地へとボールが入り、伊東純也に出す。それを堂安に戻し、堂安がダイレクトで左足を振り抜き中へとクロスを入れる。誰の頭にも触れず、吉田麻也が相手DFと競り合った結果、前田大然の前にボールがこぼれ、そのまま押し込んで日本が今大会で初めて先制をした。

「狙い通り、素晴らしい形で得点できた。前半は、アグレッシブにプレーもできましたし、コスタリカ戦での課題だった攻撃でいい形ができたと思います」

堂安が後半で見たギアを上げる感じがなさそうな表情

 ハーフタイムでは、もう1点取りにいくことを確認した。

 だが、後半10分、同点に追いつかれ、それから前半に機能していた攻撃の勢いが消えた。

「後半の失点からギアを上げ切れなかった。チームメイトの顔を見てもここからギアを上げる感じがなさそうな表情をしていました。それはやる気とかそういう問題じゃなくて、疲労からくるものもありましたし、彼らの圧力もあり、前半にアグレッシブにいった僕たちがへばってしまったのかなと思います」

 1-1のまま時間が刻々と過ぎていく中、日本の攻撃陣は疲労の色を濃くしていった。

 相手のプレッシャーや体の強さもあり、前に入るボールをことごとく潰され、奪われ、相手の2次、3次攻撃を喰らった。徐々に足が止まり出し、前でボールを収めきれないので、DFラインも上げられない。

歴史を変えることができなければ…

 後半42分、堂安は南野と交代した。

 延長線も苦しい時間帯が続き、なかなか状況を変えられないままPK戦に突入した。そして、南野、三笘が外し、4人目の吉田麻也が止められた。南アフリカW杯のPK戦敗退の悪夢がよみがえり、カタールでの日本のベスト8への旅は終わりを告げた。

【次ページ】 今日の試合に関して言えば全然差は感じなかった

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