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「自分が蹴るべきだったのか…」三笘薫が“涙のPK”で背負い込んだ責任と後悔…29歳で迎える4年後は「チームを勝たせる存在に」
posted2022/12/06 17:29
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
溢れる感情を、抑えることができなかった。
12月5日(現地時間)に行なわれたクロアチアとのラウンド16に敗れた直後、三笘薫がテレビのフラッシュインタビューに呼ばれた。ベスト8以上を目指す戦いにPK戦で終止符が打たれると、涙をこぼしながらピッチに崩れ落ちた。気持ちの整理がついているはずはない。言葉を絞り出そうとしても、うまくつながれていかなかった。
「いや……まあ……うーん、試合を通して……。ええ、うん……全部が足りなかったと思います」
これを話すだけでも、精いっぱいだったのだろう。4年後について問われると、「いやもう、次のW杯で……勝てるように、やるしかないと思います」と言い、視線を落として左手で目元を覆った。涙腺が決壊してしまった。
そのまま、記者の待つミックスゾーンへ足を運ぶ。目は赤い。率直な思いを聞かれると、「PKを蹴った責任があるので、迷惑をかけたなと思います」と答えた。
「勝たせたいと思って、蹴りました」
PKのキッカーは、蹴る意思を表した選手が任された。三笘はふたり目で登場し、GKドミニク・リバコビッチに止められてしまった。ひとり目の南野拓実も止められていた日本は、ふたり連続で失敗してしまった。
「蹴る前は、そうですね……。勝たせたいと思って、前日もいいフィーリングだったので、蹴りました」
3人目の浅野拓磨がネットを揺らし、クロアチアのマルコ・リバヤのキックが左ポストを叩き、PK戦は1対2となる。しかし、4人目の吉田麻也も止められると、クロアチアのマリオ・パシャリッチに決められてしまう。5人目のキッカーを待たずに、日本はベスト8進出の権利を譲ることとなった。
三笘は64分からピッチに立った。前半に前田大然のゴールで先制したものの、後半に入った55分にイバン・ペリシッチに同点ヘッドを喫していた。浅野とともに投入された背番号9には、2点目につながる決定的な仕事が求められた。
「やっぱり試合に入るのは難しくて、徐々に入りましたけど、チャンスのところで行ききれなかったところは悔いが残りますし、そういう実力だったなと感じているので、それは仕方がないと思います。自分の実力なので」