マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「ええ~っ」「大山はドラ2で獲れたのでは…?」ドラフト会場では悲鳴も…6年前、阪神はなぜ大山悠輔を1位で指名したのか?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2022/06/23 17:01
2016年12月、新人選手入団発表会で。阪神・金本知憲監督(当時)とポーズを撮る大山悠輔
「小深田(大翔・2019年ドラフト1位、大阪ガス)の時もずいぶん言われましたよ。佐々木朗希を抽選で外して小深田を指名して……。でもね、現場から『佐々木朗希が獲れなかったら、即戦力のショート』って言われたら、何がなんでも、まず即戦力のショート。僕らにとって、これは、当たり前のことなんです」
最近でいえば、2018年阪神1位・近本光司(外野手・大阪ガス)、2020年西武1位・渡部健人(内野手・桐蔭横浜大)……ドラフト会場をアッといわせた1位指名にも、同様の事情があったのだろう。
70試合で18弾なら“約40本ペース”か
21日の広島戦でも、左腕・床田寛樹投手から18号2ランをマツダスタジアムの左翼スタンドに放り込み、チーム全得点の3打点を挙げた大山悠輔。打ったボールは、床田投手のクロスファイアー……149キロをマークしていた。
変わってきたなぁ……と思う。
今季の大山のバッティング、相手投手の「勝負球」を狙いにいって仕留めているように見える。
失投を痛打にしてみせるレベルから、ウイニングショットを狙ってひと振りで長打に仕留めるレベルへ。次元の高い場所に向かっていく予感が伝わる。
ドーム球場が増えている中、甲子園の夜空に高々と舞い上がった白球が描く雄大なアーチは、間違いなく「野球の華」だ。
70試合で18弾なら“約40本ペース”か。
今季、あと何本、甲子園での「悠輔アーチ」が見られるのか。
今年の夏は、ひときわ暑いようだ。
冷たいビールよりも、その何倍もスカッとさせてくれる白球の飛翔を、甲子園の夜空に仰ぎ見ることのできるファンがうらやましい。
マツダよりも、神宮よりも、横スタよりも……悠輔アーチは「甲子園」の夜空がいちばんピタっとハマって見える。