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センバツ最激戦ブロック&優勝候補は? 総合力は大阪桐蔭だが、エース今村猛が覚醒した「09年清峰」の再来も
posted2021/02/24 17:20
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph by
Sankei Shimbun
2月23日、史上初のオンラインで行われたセンバツ高校野球の組み合わせ抽選会。同一県から2校出場している宮城(仙台育英・柴田)、兵庫(神戸国際大付・東播磨)、奈良(智弁学園・天理)以外は地域性を考えないフリー抽選形式で実施されたが、秋季大会と同一対戦が3カード組まれる結果となった。
トーナメント表を4つに分けて見ていくと、最も激戦と見られるのは明豊(大分)のブロックになるだろう。
最大の注目は近畿大会決勝の再現となった智弁学園(奈良)と大阪桐蔭(大阪)の対戦だ。大阪桐蔭は松浦慶斗、関戸康介という150キロを超える左右の超高校級投手と力のある野手が揃う優勝候補の大本命。そして対する智弁学園はそんな大阪桐蔭を秋は7対3で退けており、打線の破壊力は出場校の中でも指折りだ。
この1戦の結果が優勝争いに大きな影響を与えることは間違いないが、総合的に考えるとやはり大阪桐蔭が優勢と言える。その裏付けとなるのが初戦での圧倒的な強さだ。
これまで西谷浩一監督が指揮を執るチームは春夏合わせて16度(中止となった昨年春は除く)出場しているが、初戦敗退は一度もない。選手個々の能力の高さだけでなく、対戦相手を分析する力の高さもずば抜けたものがあり、昨年秋に一度直接対決しているという点も大きなプラス材料と言える。智弁学園からすると、何とか打ち合いに持ち込んで勝機を見出したいところだ。
大会No.1小園健太は県岐阜商と
同じブロックでもう1つ大きな注目を集めるのが大会ナンバーワン投手の呼び声高い小園健太を擁する市和歌山(和歌山)と東海大会準優勝ながら優勝候補の一角に挙げられている県岐阜商(岐阜)の対戦だ。
小園は最速152キロのスピードよりも変化球を駆使した完成度の高さが光る投手で、正面から打ち崩すのは容易ではない。しかし県岐阜商を指揮するのは百戦錬磨の鍛治舎巧監督で、秀岳館(熊本)時代にも多くの好投手を攻略してきている。更に市和歌山は松川虎生、県岐阜商は高木翔斗とともに4番で主将を務める超高校級捕手がチームを牽引しているという点も共通している。小園の出来に加えてこの2人のキャッチャーのプレーぶりが勝敗を大きく左右することになるだろう。
この4校以外にも近年九州勢をリードしている明豊、21世紀枠での出場ながら近畿大会では市和歌山を苦しめた東播磨、左右の二枚看板が安定している中国チャンピオンの広島新庄(広島)、選抜は初出場ながら北信越では常に上位で秋は星稜(石川)にも競り勝った上田西(長野)など実力校が揃う。初戦の展開次第ではどのチームが勝ち上がっても不思議ではなさそうだ。