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「関係者にも極秘…辛かった」タイガー・クイーンだった女子プロレスラーの告白…マスクを脱ぎ、正体を明かしたVENYの思い「機会があれば、いつかまた」
posted2025/03/27 17:28

3月13日のストロングスタイルプロレス後楽園ホール大会、タイガー・クイーンはマスクを脱ぎ、活動終了を報告した
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
“終わり”の時は突然やってきた。“女子版タイガーマスク”タイガー・クイーンの活動終了だ。
クイーンは2021年7月、初代タイガーマスク・佐山聡率いるストロングスタイルプロレス(SSPW)でデビュー。いきなり“デスマッチ・アマゾネス”山下りなにフォール勝ちすると彩羽匠、世羅りさなど女子プロレス界のトップ選手たちに勝利してきた。
そんなタイガー・クイーンが、観客の前でマスクを脱いだ。3月13日のSSPW後楽園ホール大会。デビュー前からのコーチでもあるジャガー横田にタッグマッチで敗れ、リングを降りる。そして控室へと引き上げながらマスクを脱ぎ、後ろ姿で観客に手を振った。
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インタビュースペースにも、クイーンは素顔で現れた。もはや“元タイガー・クイーン”と呼ぶべきか。その素顔はVENY。今年1月、Sareeeを下してシードリングのシングル王者になった選手だ。山下や彩羽に勝ったのも頷ける話で、彼女自身がトップ女子プロレスラーなのだ。
タイガー・クイーンとして最後のリングと決めていた
3.13後楽園大会では、タイガー・クイーンの新たなスタートとなる試合が行われるはずだった。当初、発表されていたのはクイーン&野崎渚vs.ジャガー横田&スターライト・キッド。スターダムの“白いベルト”ワンダー王座を保持するキッドも虎のマスクがトレードマークだ。クイーンがデビューした頃から、両者の“虎対決”を待望するファンは多かった。
キッドはこの試合を負傷により欠場、代打としてAZMがジャガーとタッグを組んだ。これもまた新鮮な顔合わせだ。そして今回の相手がキッドであれAZMであれ、クイーンと女子プロレス最大手団体スターダムの“開戦”がポイントになると思われた。
実際、AZMの存在は試合の中心と言ってもよかった。ジャガーとの連携、クイーン、野崎との対戦いずれも新鮮だ。
だがVENYは、これがクイーンとして最後のリングだと決めていたそうだ。フィニッシュが師匠であるジャガーとの攻防になったのも偶然ではなく、一種のケジメだったのかもしれない(ジャガーがサムソンクラッチで勝利)。
VENYのタッグパートナー、野崎渚はフリーだが一昨年までWAVEに所属していた。VENYがデビューした団体だ。クイーンのデビュー戦の相手、山下りなもWAVE系列の団体に所属していたことがある。とりわけプレッシャーがかかる最初と最後の試合、クイーンは頼れる“先輩”と同じリングにいることを望んだのかもしれない。