甲子園の風BACK NUMBER
センバツ最激戦ブロック&優勝候補は? 総合力は大阪桐蔭だが、エース今村猛が覚醒した「09年清峰」の再来も
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph bySankei Shimbun
posted2021/02/24 17:20
大会No.1投手・小園健太を擁する市和歌山。今村猛が覚醒した90回大会の清峰の再来なるか
21世紀枠3校が同じ枠に
最後に三島南(静岡)のゾーンは21世紀枠が3校入ったこともあり、展開が読みづらい。チームのネームバリューで言えば東海大相模(神奈川)が頭一つ抜けているが、旧チームの野手陣が3年生中心だったこともあり、攻撃力は例年と比べて落ちる印象を受ける。さらにに初戦の相手は関東大会で敗れている東海大甲府(山梨)ということもあり、名前だけで勝ち上がるのは当然難しいだろう。
同じゾーンでは福岡大大濠(福岡)と大崎(長崎)の九州大会決勝の再戦も注目カードだ。この時は両エースが登板を回避したが、どちらも複数のタイプの異なる投手を擁するだけに、どのような起用をしてくるかが大きなポイントとなるだろう。
エース今村が覚醒した清峰
総合力ではやはり大阪桐蔭がリードしているように見えるが、冒頭でも触れたように最激戦となったゾーンを勝ち抜くのは容易ではない。さらに昨年は多くの公式戦が中止となっており、夏の代替大会は3年生中心で臨んだチームも多く、公式戦の経験値が不足しているという点も例年と異なっている。
そのことを考えると、大会期間中にいかにチームに勢いをつけられるかがカギになる。過去10回の大会は全国的にも有名な強豪校が優勝を果たしており、公立高校が優勝したのは09年の清峰が最後。この時のチームは前年秋の明治神宮大会初戦で大量失点を喫して敗れており、そこまで前評判が高いわけではなかったが、エースの今村猛(現広島)がどんどん調子を上げて5試合44回を投げてわずか1失点という圧巻の投球で一気に頂点に上り詰めた。
かつて清峰の野球部長を務めていたのが大崎の清水央彦監督というのも何とも因縁めいている。その大崎のエース坂本安司や前述した小園(市和歌山)のように今大会は甲子園常連校以外にも好投手が多いだけに、伏兵と見られていたチームが「2009年の清峰」の再来をやってのけることも十分に考えられるだろう。