酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
野球人気低下打破へ「2リーグ制“解体”→3地区制」さらに新球団誘致しては 【セパ格差危機に提言】
posted2020/12/02 11:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Hideki Sugiyama
今年の日本シリーズのソフトバンクの対巨人4連勝は、プロ野球全体に大きな衝撃を与えた。中には「1リーグ制にすべき」など、球界再編を示唆する意見さえ出てきている。実は筆者も、現状のリーグの在り方を変えるべきではないかと思っている1人である。
とはいえ、今挙がっている単純な1リーグ制には賛成できない。
韓国プロ野球(KBO)は、10球団による1リーグ制で、ポストシーズンはペナントレースの5位以上のチームによってプレーオフワイルドカード、準プレーオフ、プレーオフが争われ、最後は優勝チームとプレーオフの勝者が韓国シリーズで対戦する。この方式だと、ペナントレースの勝率が4割台の5位のチームがチャンピオンになる可能性がある。優勝チームが2週間も待たなければならないのも問題だ。またペナントレースが1つしかなく、単調になる。
2004年の「球界再編」騒動のときに、巨人などが提唱した1リーグ制は、巨人戦の放映権の恩恵をすべての球団が得ることができるというもので、特にパ・リーグ球団が賛同したが、現在は放映権ビジネスそのものが、はるかに小さくなっているので、メリットは低いと感じる。
両リーグが歩調を合わせず運営している
しかし今の2リーグ制は、このままでいいとは思わない。
現在のNPBの運営体制について、大きな課題は2つあると思っている。
ひとつはセ・パがいまだに歩調を合わせることなく運営をしていること。今年でいえばパ・リーグはクライマックスシリーズありで、セはなかった。開幕日は同じだったが、閉幕日はパの11月9日に対して、セはレギュラーシーズンをパのCSが始まった11月14日まで引っ張った。
今やセ・リーグとパ・リーグはNPB機構傘下の一部門に過ぎず、独立した事務局さえ持っていないのだが――それでもバラバラで運営されている。そのメリットはほとんどないと感じる。
もう1つは、クライマックスシリーズの納得性が低いことである。